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カイルモア修道院






アイナ湖 Lough Inagh から → イニシュボーフィン島 Inishbofin Island
2010/01/01 release
【27】 2009/06/08 (月)  ドライブ旅行 (2) 9日目 戻る次へ

 ここは、アイルランドの湖水地方と言われる中の湖の一つ、アイナ湖 Lough Inagh湖畔の宿 である。 今朝は 6時に目が覚めたので、朝食前に鳥観 とりみ に出かけることにした。 まだ、曇りがちの空模様だが、今朝のアイナ湖は山の緑が湖面に映えて、きのうより美しく見えた。

 不思議なことに、また、それは結構なことだったが ・・・ 昨晩悩まされた "やぶ蚊" は嘘のようにいなかった。 もちろん、ロバ もいない。




 また、今日の予定としては、イニシュボーフィン島 Inishbofin Island に渡ることであるが、途中にある カイルモア修道院 Kylemore Abbey と、コネマラ国立公園 Connemara National Parkビジターセンター で、その島の情報と、鳥観 とりみ の情報を得るつもりである。








アイナ湖 Lough Inagh で鳥観 とりみ する
 宿の キャトル・グリッド を出て、そのままアプローチを進めば、昨夕方に ロバ たちとであった湖岸への小道に出る。 左に行けば山に向かうようであるが、地図上では行き止まりで、トレッキング のルートへと繋がっているようだ。

 右に行けば、なだらかな坂道で、昨日走ってきた湖岸道路 R344 に到り、それを越えればそこが水辺である。 いづれにしても、この辺り一帯は、地図ではピクニック場 picnic site のマークが記されてあった。


 この B&B にしても、近くのホテルにしても、トレッキング やハイキングやピクニックの拠点となっているのだろう。

言葉もいろいろ ※5
 ・トレッキング trekking : (長い骨の折れる) 旅行
 ・ハイキング hiking : 運動・楽しみのために郊外・野山を歩く遠足
 ・ピクニック picnic : 野外で食べる食事を持参する遠足

 cf. トレイル trail




 Lough Inagh
アイナ湖の風景  Lough Inagh, Ireland 2009/06/08 Photo by Kohyuh



 その湖岸の方の道を辿ると、ただの草原の中を行くように見えるが、湖が近づくにつれて、コネマラ国立公園一帯に広がる独特の ボーグ bog と呼ばれる湿原の様相を呈して来る。 昔、地理で習ったことがある "泥炭 peat" がとれるようである。

ボーグ bog ※5
 (排水不良な泥炭質の地で、重いものは沈むような)湿原








 ボーグ bog 保護区
泥炭 peat の作り方 ・・・ 展示用
2009/06/08 Photo by Kohyuh
 はじめは、日干し煉瓦でも作っているのかと思って眺めていたが、ボーグ bog の保護区という立て看板があった。

 それが何たるものか、そのときは分らず、ただ、自然の保護区か何にかだろうと思っていただけだ。

 それが、泥炭 (ピート) と呼ばれるものが採れる湿地帯のことと知ったのは、コネマラ国立公園の ビジターセンター である。






泥炭 peat
 スコッチ・ウイスキーの醸造過程で、麦芽の成長をとめるために乾燥させる必要があるが、そのための燃料と香り付けを兼ねて、この 泥炭 (ピート) が使用されるそうである。 そして、この時につく香りのことをピート香という。 by Wikipedia


 こういった ボーグ bog は、現在では非常に少なくなってきており、確か、面積にして 100分の1 以下になっていると記されていたように思う。

 石炭や石油など、化石燃料は、採り続ければいづれなくなることは誰しも承知しているところである。 ただ、例え、そのような事態になったとしても、地球環境にはさほど影響はないだろう。 地下の深いところで、化石としてあるだけで、生命活動はしていないからだ。

 しかし、ボーグ bog は違う。 そこは今も地表では、湿地帯に適応した様々な動植物が生息している。 また、泥炭 (ピート) は地下の浅いところにあるから、それを採掘するには地表の生物層を破壊することになるからだ。



 ボーグ bog は一度破壊されると、もはや再生は不可能と言われているから、やっかいだ。 "泥炭" は代替燃料で何とかなろうが、失われた生物層や、ボーグ bog 自体は代替が利かない。 それは、地球環境にも影響を及ぼすことになるに違いない。



 しばらくして、小鳥の姿があったので湖岸に足を踏み入れたが、ふわふわで、足元から水が染み出したりして歩き難い。 ヒバリロビンハシグロヒタキ 、それに、キタヤナギムシクイ Willow Warbler がいたが、とても鳥観 とりみ にはならなかった。 接近できないのである。

 また、風が強く、冷たかった。 "やぶ蚊" がいなかったのはそのためかも知れない。 早々に引き上げることにした。







カイルモア修道院 Kylemore Abbey に向かう
 8時に食堂に出向いたが、もう食事が始まっていて、賑やかだった。 私たちを含めて6組の人たちがテーブルを囲んでいたから、宿は満室だったろう。 結構、人気のある宿かもしれない。 私たちがチェックインしたときには、まだ一部屋空いていたと思うのだが ・・・


 みなさん見るからに トレッキング の人たちである。 彼らは朝が早いのだろう。 こういったところでは当たり前かも知れないが、普通、朝食は 8:30頃である。


 こうして、お世話になった Lough Inagh Ranch の宿を 9:30 am にチェックアウトして出発した。 ここから カイルモア修道院 Kylemore Abbey まで、一本道のようなものであり。 このまま、R344 を走って、国道 N59 の交差点を左折すれば、もう数百メートルで目的地に到着する。 距離にして、20kmほどだ。


 10時ごろには着いたのだが、駐車場はがらんとしていた。 まだ開いていないようで、垣根が閉ざされていた。 目の前には、ガイドブックにあるとおりの美しいカイルモア修道院が見えている。

 しかし、不思議なことに、庭を散策している観光客の姿がちらほら見える。 どうなっているんだろうと、キョロキョロしていると、『あちらから回るんだ』 という具合に、大きく手を回して合図してくれた人がいた。 これでは私は、まるでニワトリだ。

 cf. ニワトリと一緒?



Kylemore Abbey
カイルモア修道院 Kylemore Abbey, Ireland 2009/06/08 Photo by Kohyuh


 カイルモア修道院へのアプローチからの眺めが絵葉書どおりである。 山を背にして、前には湖があり、湖岸には花が咲いているよく手入れされた庭が続いているというから文句はない。 ただ、どこか淋しげに見えたのは、この修道院の来歴を知っているからだろうか。


悲しい物語があった
 元は、カイルモア城 Kylemore Castle と呼ばれて、マンチェスター(英国) の裕福な政治家ミッシェル・ヘンリー Mitchell Henry (1826 – 22 November 1910) と、その妻マーガレット Margaret (1826-1875) によって、私邸として 1863-1868年にかけて建てられたものである。

 このように、カイルモア城は幸せな家族の象徴だったのだが、彼らはそこに長く住むことはなかった。 というより、住む気力を失ったのかもしれない。

 それは、突然の妻の死と、さらに、5人の娘と4人の息子に恵まれながら、その娘の一人を亡くすという、不遇な目に会うのである。

 彼の妻マーガレットは、1875年に50歳の若さで亡くなったのだが、それはエジプトで罹った熱病が原因だったという。 そのような状況のままここで暮らすということは、その苦痛をさらに助長させるにしかならないだろう。

 ただ、美しい居城だからといって、悲しい思い出を忘れさせてくれるものではない。 さして大きな憂いのない、平々凡々な家庭こそ、それに勝るものはない。 地位や資産や名誉や何も ・・・ ただそれだけでは勝てはしまい。




そして、カイルモア修道院へ
 ミッシェルが手放したこのカイルモア城を買い取ったのが、カトリックのベネディクト会 で、修道院Benedictine monastery として改装した。 1920年のことである。

 第一次世界大戦を逃れてベルギーに渡ったベネディクト会の修道女のために建てられたということである。




 修道院の入場受付では、団体さんなどで混雑していたこともあって、建物の中の見学はやめることにした。 宗教的な知識を持ち合わせぬものにとっては、何を見ても同じように見えて、違いが分からないものである。

 カイルモア修道院を、ただ、美しいかどうかという個人的な感性で眺めるということであれば、外観だけで、もう、十分堪能したということだ。








コネマラ国立公園 Connemara National Park に向かう
 カイルモア修道院から コネマラ国立公園の ビジターセンター までは、ほんの数キロである。 今日中に、イニシュボーフィン島 Inishbofin Island に渡ることが出来ればよいから、その情報収集と、コネマラ国立公園での鳥観 とりみ を楽しむことにする。




Connemara National Park
コネマラ国立公園 Connemara National Park, Ireland 2009/06/08 Photo by Kohyuh




 ビジターセンター では、ボーグ bog の保護についてのパネル展示があり、かっての状態と、それが失われて行った状況が地図上に分りやすく説明されていた。


 泥炭 しか採れない不毛の地と考えられていたボーグ bog が、一方では、貴重な動植物の棲息地であり、決して、失われても良いというものではないことが分かるのである。



フェリー乗り場のクレガンへの道程や発着時刻表を入手した結果、ここで一時間ほど鳥観 とりみ する時間があることを確認できた。






トレッキング trekking
コネマラ国立公園のトレッキング道
2009/06/08 Photo by Kohyuh
  ここには、トレッキング 地図も用意されていて、一時間コースとか、二時間コースとか、いろいろあるようである。 私たちは、まずは無難なところで、一時間コースを歩くことにした。


 ゆっくりとなだらかな坂道を登っていくが、木立は少なく、見晴らしのよい高原を行くようである。 30分ほどで 2時間コースとの分岐点に到着する。









トレッキングの帰り道
2009/06/08 Photo by Kohyuh
 写真(右上)のコースを行けば、山の頂上に行くのだろうが、私たちは 1時間コースであるから、ここから写真(右)の下りの道を行くのである。


 とは言え、花やチョウや鳥を観ながらの トレッキング であるから、ここで出逢った 2時間コースを行くと言っていた若者たちに、途中で追い抜かれてしまったのである。










《続く》 → "クレガン Cleggan " へ





Lapwing House B&B   2009/06/08 (泊)
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