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グロスグロックナー (3)





グロスグロックナー山岳道路
 Grossglockner High Alpine Road (3)
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§ 峠越え

 寄り道したフランツ・ヨーゼフ・ヘーエ Kaiser-Franz-Josefs-Hohe からフッシュ Fusch 方面への峠道を目指すのであるから、一旦、分かれ道まで戻らなければならない。


 しかし、無駄なことをしているといった感じは一切ない。 同じ道を帰っている筈なのに、初めて見るような風景が次々と現れるものだ。 これは何も車を運転しているからではなく、トレッキング していても同じであろう。 ときどき後を振り返って見るのがよい。 そうすれば、思いがけず新しい発見が待っているものだ。 しばらくすると道路標識が現れた。



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グロスグロックナー山岳道路の標識
2007/06/11 00:01pm Photo by Kohyuh
 往路では、向かうべきフッシュ Fusch の地名が出ていたのに、この標識にはない。





 道路標識の地名の表記は、最下段が一番近いところになる。 そこから、上に記されるに従って、順に遠いところの地名になるが、これは万国共通の感覚ではなかろうか。




 だから、最上段に書かれている地名が、その道路標識の在るところから一番遠いところになる。 そして、今は記載は無いフッシュは、この山岳道路の終点になる村であるから、放って置いても必ず通る。


 実際に、ここを経由して、ツェルアムゼー Zell am See や、さらに遠方になるザルツブルグ Salzburg への道と繋がっているのである。








標識の見方
 この標識の中で知っている町の名前が、例えハイリゲンブルート Heiligenblut だけだとしても、辿るべき道を見間違うことはあるまい。 まさか、出発点のハイリゲンブルートへ戻るようなことはしまい。

 それでよいのであるが、ザルツブルグ Salzburg の地名や、ハイリゲンブルートとの位置関係を知っていれば、さらに良い。 要するに、目的とする地名が標識になくとも、方向が合っていれば、近づいてくれば標識に現れてくる。

 また、途中で小さな標識が多々出て来ることも多く、それがまた、まったく知らぬ地名ばかりであれば、気にせず道成りに進むことが肝要だ。 これは、四差路でも五差路の場合でも同じである。

 ルートの下調べが出来ていればいるほど、迷う確率が少なくなるのは当然である。 また、迷うのは仕方がないこととしても、そこからのルートの立て直しに際して、その効果が如実に現れるものである。



ドイツ Deutch (Germany)
イタリア Italia (Italy)



スロヴェニア Slovenija ( Slovenia)
 ここで、A10, A11, A12 とあるのはシンボルから分かるが高速道路 Autostrada である。

 右図は、国識別マークであり、例えば高速道路 "A10" または "A12" に乗れば、ドイツまで辿り着けることになる。


【補注】
 この国識別マークは、ミュンヘンで借り出したレンタカーの後にも 同じ "D " マークが付いていた。 どこの国から来たか分かるようにするためであろう。




 緑の地色に白抜きの地名にある、フッシャー・テール Fuscher Torl や、エーデルワイス・スピッツェ Edelweiss-Spitze は、このホーヘ・タウエルン国立公園 Hohe Tauern Natiomal Park 内にあるということを表しており、それは即ち、この山岳道路沿いにあるということになる。







§ ホッホトーア Hochtor 2,504m へ
 峠越えの道は、ますます高度を上げて、周りには雪を頂いた山並みが何処までも続いていた。 もう、どこでも絵になる風景であるが、むやみに車を停めるわけには行かない。 それでも、これぞというところには駐車スペースが設けられていたから立派なものである。

 そういった所に、再三車を停めては、眺めを楽しんだものだった。 そうこうしていると、観光バスやら乗用車やらバイクが駐車場をはみ出して、道路脇にまで溢れている場所が現れた。

 これまでの展望台では車が停めてあっても、せいぜい一二台であったから、これはどう見ても異様な光景である。 何かある。 余程の観光名所かと思って、列の最後尾に車を停めて、先頭車の方へ歩いていった。



 ここからの風景は、これまで辿ってきた道を一望できるものであった。 曲がりくねった道路が、まるでシュプールを描くように斜面を下っていた。

 このような風景の中の道を走ってきたのかと思うと感慨深いものがあった。 というのは、ドライブ中に目にする光景とはまるで違ったからである。 地を這うようにして上ってきた峠道を、その頂上から俯瞰(ふかん)するのである。




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《ホッホトーアからの眺め》 グロスグロックナー山岳道路
Hochtor 2,504m, Austria 2007/06/11 00:15pm Photo by Kohyuh




 帰国後にわかったことであるが、ここがホッホトーア Hochtor 2,504m というところで、この峠道の最高地点 2,504m であったらしい。 そういうことも知らないまま、この峠道に来たわけである。 なるほど絶景であった。

 峠道は峠道であり、私にはそれ以上のものではないし、これまでもなかった。 人っ子一人いなくてもいいし、むしろ、その方が峠らしくて好きである。 言い換えれば、この山岳道路は、設備投資が行き届いているというか、人を集めるように巧く出来ている。

 かっては、ただ山を越えたいだけの厳しい峠道だった筈である。 山がどうの、景色がどうのといった余裕はなかったに違いない。 あったとしても、それは限られた人たちだけであろう。  それが、今や観光という新しい付加価値が見出された。 安全に、しかも、アルプスの真っ只中に立てるのである。




ホッホトーア Hochtor 2,504m
 グロスグロックナー山岳道路の峠道の頂上 2,504m である。 なるほど、hoch 高い + tor 門 という地名どうりのところだ。

 この山岳道路は、1930-1935 にかけて建設されたが、歴史的には、3500年以上も前から、アルプス越えの道として、ここホッホトーア Hochtor が知られていたらしい。

 実際に、ケルトの掘割り道のある山岳寺院 Celtic moutain shrine の遺跡があるようで、それを巡る トレッキングのコースもあるとのこと。

by Grossglockner High Alpine Road のパンフレットより引用








§§ ホッホトーアのトンネル
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《ホッホトーアのトンネル》
2007/06/11 00:26pm Photo by Kohyuh
 駐車場の先にトンネルが見えた。 観光バスは人待ちをしているようである。 トンネルの近くの丘や、下の谷には人影が見える。

 トレッキングしたり、散歩したりして、自由時間を楽しんでいるようである。



 トンネルをくぐると下り道になっていた。 これで峠越えをしたことに気がついた。 雪が道路の縁石まで埋めている。

 また、数メートルも積もっているところも多々見られるようになった。 天候もどんよりとして、雨が降っているわけでもないのに、フロントグラスが汚れてきた。 霧のようなものかもしれない。














§§ ホッホトーアの第二のトンネル
 しばらく進むと、また、前方にトンネルが見えた。 どうやら道は下りばかりでもなそうである。 谷筋には雪渓が多々見られるようになった。 このトンネルの正式名称は知らないが、便宜上、ホッホトーアの第二のトンネルとした。




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《ホッホトーアの第二のトンネル》 グロスグロックナー山岳道路
Hochtor, Austria 2007/06/11 00:35pm Photo by Kohyuh



§§ Geological Study Trail 2,290m
 このホッホトーアの第二のトンネルを抜けると、また、下り道となる。 前方にキャンピングカーが一台停まっているのが見えた。 結構大きなパーキングがあったので立ち寄ることにした。

 これも言ってみれば野次馬根性の一つである。 行列があるとか、駐車場が広いということは、"何か意図するだけのものがきっと有る" という "刷り込み" が私にはある。

 赤や黄や白い花が道路脇に咲いていた。 見たことのあるような、ないような花で、未だ同定作業はしていないままである。



 ここは、パンフレットによれば、Geological Study Trail 2,290m と呼ばれているところである。 地層がよく現れており、辿れば地質が勉強できるような路があるのだろう。

 また、写真付き説明板によれば、シロエリハゲワシ (Gyps fulvus)、ヒゲワシ (Gypaetus barbatus) や イヌワシ (Aquila chrysaetos) を観ることができるとのこと。
 ワシタカを観察するのなら、なるほど、キャンピングカーがいたのもうなづける。 もちろん、そんな時間的な余裕もないので直ぐに出発した。






§§ フッシャー湖 Fuscher Lake 2,262m
 Geological Study Trail を更に下っていくと左前方に小さな湖と、道路を挟んで右側に休憩所があった。 駐車場には車が数台停まっていたが立ち寄らずに通り過ぎた。 ここがフッシャー湖 Fuscher Lake 2,262m だったらしい。 見た目は何の変哲もない。 氷河湖の名残だろうか。

 休憩所には、この山岳道路の建設工事の様子が展示されているようである。 また、湖の周りには遊歩道が整備されているという。









§ フッシャー・テール Fuscher Torl 2,458m へ
 フッシャー湖を通り過ぎると、また、上り道となった。 これまで、アップダウンを繰り返してきたから、どこが峠の頂上であるのか、もうこのときは分らなくなっていた。 前方に、これまでとは異なる、一見して立派な展望台を備えた休憩所が見えた。

 道路脇が広くとってあり、そこが駐車場になっているが大きくて立派なものである。 道路の左手は深い谷になっており、その向こうに雪を頂いた峰峯が屏風のように連なっているのが見える。

 道路の両側、即ち、谷側にも、山側にも展望台があるのだろう、人が行き来しているのが見える。 先ずは、谷側から見てみたいと進むと石段があり、立派な屋上展望台へと導かれる。 屋上というからには階下があるわけであるが、それが何だったか記憶にない。 たぶん、トイレだけだったと思うが・・・

 そこまで立ち寄っていないのである。  また、山側にある建物にも顔を出していない。 展望台で見るべきものは見たのであるからと、先に行くことにした。

 普段から、土産物屋には興味がなかったからではあるが、例え買わないにしても、覗いておくべきであった。 山側にも顔を出しておくべきであった。 写真の一枚でも撮って置くべきであった。
  


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《フッシャー・テールの谷側展望台からの眺め》 グロスグロックナー山岳道路
Fuscher Torl, Austria 2007/06/11 00:55pm Photo by Kohyuh





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グロスグロックナーを望む Fuscher Torl
2007/06/11 00:57pm Photo by Kohyuh
二つのピークの内、左手前が Sonnenwelleck 3,261m
そして、その右手が Fuscherkarkopf 3,331m である。
 展望台には、山の位置を示すのに照準器を設けていたが、覗く人は少ない。

 覗いても、照準の合せ方がよく分からないからである。














 例えば、グロスグロックナーであるが、二つのピークが見えるが、どちらにも照準が合うように視線をとることが出来る。 言い換えれば、思い込みの山に照準が合ってしまうのである。



 そしてまた、本当に見たいのは、この手前に見える二つのピークのどちらでもない。 そのはるか先にある、写真ではよく分からないピークが、グロスグロックナー 3,798m である。

 こうなれば、結局のところ、照準器が備えてあっても、山の位置関係など、よく知り尽くしていないと分からないということだ。





 ここから他に
  Oberwalderhutte 2,972m
  Brennkogel 3,018m
  Fuscherkarkopf 3,331m
  Hohe Dock 3,348m
  Wiesbachhorn 3,564m
 などを遠望したが、従って、正確に見たかどうかは分からない。 照準器といっても、指差しと変わらない。 指差しで分かるのなら鳥観 とりみ も楽であるが ・・・


 いづれにしても、このフッシャー・テールが、"見晴らしのきく、写真撮影にはもってこいの場所" というのは確かであった。 








§ エーデルワイス・スピッツェ Edelweiss-Spitze へ

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突然の渋滞 Fuscher Torl
2007/06/11 01:18pm Photo by Kohyuh
 フッシャー・テールを出ると下り道になった。

 信号機でもあるのか、長い車列の後ろについた。

 ここは、ブラインドカーブになっていて先が見えないから、待たされる理由が分からない。

 通り過ぎてわかったが、工事中であった。



 ここに来て、見晴らしがきいた。 どうやら峠もこれが最後らしい。













 左手に道は一気に下っていく様子である。 ただ、前方に山小屋風の休憩所がみえる。 そちらに向かう車も多いようである。

 さらに、その前方には、ぽっかりと、甲山のような小さな山がある。 その甲山の頂上にも展望台や山小屋があるのが分かる。 車で上れそうである。

 一挙に峠を下れば、それでお終いである。 これではいかにも、もったいない。 人だかりのする方へ向かった。




 ふもとの休憩所には眼もくれず頂上を目指した。 この道は、バスでは上がれない。 3.5t 以上は通行禁止らしい標識があった。 なぜかバイクばかりが上っていくので、道幅も狭くバイク専用道路かとも思ったが、それには構わずに上っていった。 頂上らしきところに山小屋と駐車場があって、バイクや乗用車が停めてあった。

 さらに道が続いてあったから、なおも先へと進むとまさに頂上着いた。 駐車場もある。



 ここが、エーデルワイス・スピッツェ Edelweiss-Spitze とわかったのも帰国後のことである。 スピッツェ Spitze とは、「尖り、尖端、尖頭」 などという意味であるから、日本ならば甲山でもよかろうが、そのまま "エーデルワイスの丘" としよう。

 このエーデルワイスの丘が、グロスグロックアナー山岳道路から車で行ける最高地点 2,571m であるという。 ただ、山岳道路の "峠道" としての頂上は、ホッホトーア Hochtor 2,504m だそうだ。


 私は、とにかく行列があれば、訳もなく並んで見るという性質であるが、今回もそれがよかった。 何しろ、この山岳道路で行ける最高地点ということを後で知ったからだ。 もし、逃していたら、どれ程か、悔しい思いをすることだろう。

 以前、フランクフルトの駅だったか、行列があったから並んでいたら、コーラの新製品をくれた。 丁度、飲み水を調達しようと思っていたところであったから、家内と二人で2回並んで計4本を手に入れた。 ひょっとして、日本人の品格を汚したかもしれない。





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エーデルワイスの丘 Edelweiss-Spitze 2,571m
2007/06/11 01:23pm Photo by Kohyuh
 このエーデルワイスの丘からの眺めは、まさにパノラマである。 360度見渡せるのはここだけであった。

 そして、今こうして辿った道どりを振り返ることが出来るのも、ここからの写真があったからである。










 ただ、残念に思うことは、このエーデルワイスの丘の遠望をお見せすることが出来ないことだ。 中途半端な写真しかない。

 とにかく高いところが好きであるから、ついつい先を急いでしまう。 遠望する写真を撮らないまま来てしまった。

 また、それに気付かずに、さっさと帰ってしまった。 というより、例え気付いたとしても、最早、元へは引き返せない。


 常々、遠望することがいいのであって、中に立ち入れば、どこも似たり寄ったりであると思っているのに・・・  お城であれ、宮殿であれ、山であれ、何でもそうだ。












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《エーデルワイスの丘からの眺め》 グロスグロックナー山岳道路
Edelweiss-Spitze 2,571m, Austria 2007/06/11 01:29pm Photo by Kohyuh

右端のヘアピンカーブのところがフッシャー・テール Fuscher Torl
左下の山小屋がエーデルワイスの丘の入り口
その右にあるのが、一気にゲートまで下り降りる分かれ道である。





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《フッシャー・テール Fuscher Torl》 エーデルワイスの丘から望む
Edelweiss-Spitze 2,571m, Austria 2007/06/11 01:29pm Photo by Kohyuh

右端に見えるのがフッシャー・テールのシンボルの塔
(展望台は山に隠れて見えない)





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《エーデルワイスの丘からの眺め》
グロスグロックナー山岳道路
Edelweiss-Spitze 2,571m, Austria
2007/06/11 01:30pm Photo by Kohyuh

直下にフッシャー湖 2,262m
遠くにホッホトーアの第二のトンネル
その中間 Geological Study Trail 2,290m のパーキングが見える






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ここまで来るか? Edelweiss-Spitze 2,571m
2007/06/11 01:43pm Photo by Kohyuh
 よくぞここまで車で上って来たものだと思ったが、エーデルワイスの丘を下っていると自転車で上ってくる者たちがいたから驚いた。

 自転車を押して上るのではなく、ちゃんと乗って上ってきていた。

 これまで、ヨーロッパのいろんな峠道を通ってきたが、必ずといって良いほど、こうした光景を目にしたものだった。

 サイクリングも、よほど魅力があるのだろうが、ここまで真似の出来るものは少なかろう。 





















§ グロスグロックナー山岳道路との別れ

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料金所 2007/06/11 02:13pm Photo by Kohyuh
 エーデルワイスの丘を発ってから、30分ほどで料金所に辿り着いた。

 まさしく峠を駆け下りるように走った。

 何しろ、道路もよし、景色もよし、交通量も少ないので疲労感はまったくなかった。

 途中に何ヶ所か休憩所があったが、それも立ち寄ることはなかった。







 料金所をでると、そこは広場になっていて、バイクや乗用車が散らばってあった。 人影も見えるが、皆さんくつろいでいる様子である。 これから、この峠越えに挑むのではなく、無事に終えて、立ち去りがたい思いに耽っているに違いない。



 料金所の屋根越しに雪山が連なって見える。 さらに回り込んで見れば、渓流が一筋 ・・・ 白く輝きながら山の高みから滝のように流れ下るのが見えた。
 

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滝のような渓流 料金所からの眺め  2007/06/11 Photo by Kohyuh

 
 
 
 
 
 
グロスグロックナー山岳道路 Grossglockner High Alpine Road (3)
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