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シャモニ (1)




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【2004/05/09】
 今朝 9:30am 頃、民宿を出発し、いよいよシャモニを目指すことになった。 シャモニ Schamonix と言えばモンブラン Mont-blanc であろう。 ヨーロッパ大陸の最高峰 4810m である。

 心配した積雪もなく、また、意外に早く、11:00am には予定通りシャモニに到着した。 周りの山々は白銀の世界である。 雪もちらほら降っていた。 空もどんよりしていた。 これまで雪のことは、まったく想定していなかったから、チェーンも何も用意していない。

 町の入り口に大きな駐車場が目に入った。 普通なら、先ず公共の駐車場に停めて、歩いてインフォーメーションに立ち寄り、情報や地図を入手したりするものである。 そうでなくても、シャモニの街は、車の乗り入れが禁止されていると思っていた。

 ところが、他の車の動きを見ていると、一般車も街中に出入りしている様子であった。 今は、まだ、シーズンオフだったようである。 ならば、こんな馬鹿でかい駐車場で、また、こんな町外れには停めたくはない。 車で乗り入れることにした。



 シャモニは、思ったより小さな町で、ぐるりと回っただけで、インフォーメーションも見つかり、地図も入手できた。 市場も覗くことが出来た。 小さな公園に駐車スペースがあったのである。

 次はホテル探しであるが、家内が兼ねて調べていたホテルがある。 ガイドブックに、安くてお勧めのホテルとして載っていたそうだ。 およその見当をつけて、車で移動したら、すぐに見つかった。

 早速、泊まれるかどうか聞いてみると、OKという。 それも、昼前なのに部屋を使ってもいいとのことである。 これは願ってもないことで、日本のように杓子定規でないところがいい。



 部屋に入って腰を下ろすと、外は寒そうであるし、私は、もう動きたくない。 ところが家内の方は元気なもので、一人で街に繰り出して行った。 どうやら今日は祝日で、スーパーも半日で閉まり、お店もほとんど閉まっていたという。

 それでも、パン屋を見つけて、クロワッサン、チョコレートデニッシュ、ポムデニッシュとやらを買ってきており、部屋で食べたものだった。 ホテルでも軽食は摂れるようになったいたのに、これでは、商売あがったりであろう。







§ モンタンヴェール Montenvers へ
 このまま、昼寝をしていたのでは、如何にももったいない。 モンタンヴェール登山鉄道に乗ることにした。 氷河メール・ド・グラス Mer de Glace を眺望できるところであるし、ロープウェイで氷河に降り立つこともできるところである


《モンタンヴェール登山鉄道》 Photo by Kohyuh 2004/05/09
 このモンタンヴェールへは、シャモニ駅の裏側にある登山電車で登る。

 約20分ほどで頂上に着くが、標高差が 900m というから、以外に高い。










 刻々と、景色が変わって、電車とは思えない。 ロープウェイに乗るような感じであった。 登山道もあるらしい。 それも良かろうとは思うが、今となっては、体力も時間もない。








《シャモニの街並み》 モンタンヴェール登山電車から Photo by Kohyuh 2004/05/09





《余談》
 前にテレビで観たが、あのプロスキーヤー三浦雄一郎のお父さん (三浦敬三) が、スキーで、モンブランから、このモンタベールまで降りてくるのを、ドキュメンタリーに放映していた。

 彼が前に来た時は、『ここから、シャモニまで、滑って降りることができたのに・・・』 と、今回は、通行禁止になっていたらしく、不満そうであった。

 それが、90歳のときだったか100歳だったか忘れたが、とにかく、あの、お父さんは、尋常でない。

【補注】 三浦敬三さんは、2006年1月5日、多臓器不全のため101歳で逝去された旨
 
by Wikipedia
 





§§ メール・ド・グラス氷河 Mer de Glass
 メール・ド・グラス氷河は、駅舎のテラスから眺めることが出来る。 両側を高い岩山に挟まれ、まさに、その渓谷を流れる川の様である。 なるほど、氷河とはよくいったものである。


《メール・ド・グラス氷河》 Photo by Kohyuh 2004/05/09
 その上をカラスらしきものが飛んでいた。 しかし、こんなところにもいるのかと、感心に思った程度で、それきり忘れてしまっていた。

 帰りの便は、4時発のものと決めて、駅舎を出た。









 氷河メール・ド・グラスや雄大な雪をいただいた山並みが直ぐ目の前にあった。 私は、氷河というものを初めて、ここで見たのである。











§§§ キバシガラス
 氷河の上を飛んでいたのは、キバシガラスであった。 名前が分ったのは帰国後のことであるが、それはあまり問題ではない。

 よく見慣れたカラスの顔ではなく、まさに、健気に、しかし、悠然として、孤高の暮らしをしていることに心打たれたからである。



kibasigarasu
キバシガラス
モンタンヴェール フランス
Photo by Kohyuh 2004/05/09
【キバシガラス】
分類       スズメ目 カラス科
全長 (L)     38 cm
学名       Pyrrhocorax graculus
英名       Alpine Chough









 ここでの、キバシガラスの印象が強かったのか、以後、よく気がつくようになった。 翌日、プレヴァン (2525m) でも見た。 そこで会った日本人観光客は、ツェルマットでも見たと云っていた。 ヒマヤラでは、8,000m という高地でも生息しているという。



 雪山で、しかも高山である。 天敵は少ないかもしれないが、生活するには厳しいものがあると察せられる。 しかし、このあどけない顔を見ていると、なぜか心洗われる想いがする。

 きっと、競い合って生きて行かざるを得ない我々とは、対極の世界にいるからだろう。










§§§ カフェは休業中
《テラスのあるカフェ》
Photo by Kohyuh 2004/05/09
 ゆっくり景色を楽しみながら休もうと思って、少し、離れたところにあるカフェに行くことにした。 そこからの景色がよいとガイドブックに紹介されていたのを知っていたからだ。

 ところが、如何にも見晴らしが良さそうな大きなテラスは、雪に埋もれていた。

 私は、雪があるのは当たり前のこと、と思っていたから、そこへ行こうと思うが、不思議に人通りもない。

 それでも、私が歩き出したら、ついてくる人も何人かいた。 雪に足をとられながら、しばらく歩くと、どう見てもカフェには人影がない。

 ふと、振り返ると、先ほどの、ついてきていた人は、引き返し始めた。 やはり、営業していないことが、ここにきて初めて分かった。 この一週間ほど、天気が悪かったようだ。















§§§ 氷河に立つ
  駅舎のすぐ近くに、真っ直ぐ谷底に伸びるロウプウェイがある。 動いていたから、氷河に降りることができるようだ。 見下ろす下には、小さく、数人の人が、歩いているのが見えた。





Mer_de_glace_ropeway
氷河に降りるロープウェイ Photo by Kohyuh 2004/05/09


 一時間ほどの余裕があったから氷河に降りることにした。

 ロープウェイは、がらがらの状態であったから、待ち時間はかからない。

 下で、30分は遊べるだろうと考えてのことである。










 ロープウェイを降りると、長い鉄製の階段舗道が岸壁に沿ってあり、ここからは歩いて氷河の河床にたどり着くようになっていた。 ジグザグ状に降りていくものである。 10階建てのビルほどの高さがあったろうか。


 ロープウェイで下まで行くと思っていたから、時間の配分が大幅に狂ってしまった。 最終電車に間に合わなければ・・・とか、また、ここまで階段を上ることになるが、上りはもっと時間がかかるし・・・とか、心配のタネは尽きない。








§§§ 氷河のトンネル
 階段を下りきると、氷河の上を歩けるように道筋が出来ている。

 散策も良いが、時間がない。 すぐ、傍には、お目当ての小さな洞窟様の穴があり、入れるようになっている。 もちろん有料である。

 帰りの電車のこともあって、入ったら最後、一時間は、帰ってこれないようでは困る。 受付の人に聞くと、人にもよるが、15分程ではないかというから、入ることにした。



《セントバーナード犬》
Photo by Kohyuh 2004/05/09
 この氷河のトンネルの中は、大したものはない。

 トンネルの一つのコーナーに、セントバーナード犬と民族衣装を着けたおじいさんがいて、写真を撮らせてくれる趣向だ。


 写真は要らないが、犬とは、仲良しになりたかった。 ただ、それも、有料の様であったから、やめたのだが ・・・

 その他、民具等の展示コーナーがあるだけである。 ものの5分とかからなかった。









 ただし、この氷河のブルーを体験するだけでも、ロープウェイで降りてきた値打ちはあるでしょう。 もちろん、時間が早ければ、氷河の トレッキング とかも、体験できるようである。


Mer_de_glace_blue
《氷河のブルー》 氷河のトンネル Photo by Kohyuh 2004/05/09




 このロープウェイの最終が何時であったか確認していなかったが、こんなところで取り残されたら 『えれーことになる』 (『大変なことになる』 の岡山弁で、両親が岡山出身であるから、私は良く使う)

 まだ時間があるといって、氷河の上を散歩してクレバスにでも落ちたら、それこそ、えれ-ことになる。 早々に、引き揚げることにした。







§§§ モンタンヴェール登山鉄道駅舎にて
 午後4時の便に間に合うように、わざわざ氷河から上がってきたのに、4時になっても、一向にその気配がない。 すると、駅員が "次の出発は5時" と書いた紙を張り出した。 確か、これが最終便だった。 空はどんよりとして、雪も舞い出した。 その上寒いし、外にも出る気がしない。

 それが良かったのであろう、結果的に、キバシガラスとイワヒバリ、に出逢えることができた。 もちろん、名前は、未だ知らない。 分かっているのは、私にとって初めて観る鳥ということ、だけである。 あっと、いうまに、時間が過ぎ去った。


 見ると、氷河トンネルの中で写真を撮らせていた、おじいさんとセントバーナード犬が、ロープウェイから出てくるではないか。 それに、受付嬢だとか、駅員さんたちも、続々と、この待合室に集まり出した。

 そういうことだったのか、これで様子が分かった。 このモンタンヴェールで働く人も、観光客も、全ての人間は、この最終登山電車で下山する。 それを鳥たちは知っていたのだ。 雨風をしのぐには、最適な場所である。







§§§ イワヒバリ (岩雲雀)

iwahibari
イワヒバリ
モンタンヴェール フランス
Photo by Kohyuh 2004/05/09
【イワヒバリ】
分類    スズメ目 イワヒバリ科
全長 (L)  18 cm
学名    Prunella collaris
英名    Alpine Accentor









 森の木陰が似合いそうな、かわいい小鳥が、この駅舎のベランダにいた。 駅舎には暖房が入っていて、最終電車の時間待ちをする人も、もう外には出ない。 とても寒いからだ。

 イワヒバリを観て、その時、ただ、かわいいと思ったが、こうしてみると、凛とした目元や姿勢から、厳しい環境をものともしない強さが感じられて、感慨を新たにしたものである。 野の鳥たちを観るといつも思う、無事に生きてくれと。

 日本でも日本アルプスや富士山の標高の高い、ハイマツ帯より上部の岩石地帯で見られるという。 今の私の体力では、日本での再会は無理かもしれない。







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