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町の入り口に大きな駐車場が目に入った。 普通なら、先ず公共の駐車場に停めて、歩いてインフォーメーションに立ち寄り、情報や地図を入手したりするものである。 そうでなくても、シャモニの街は、車の乗り入れが禁止されていると思っていた。 ところが、他の車の動きを見ていると、一般車も街中に出入りしている様子であった。 今は、まだ、シーズンオフだったようである。 ならば、こんな馬鹿でかい駐車場で、また、こんな町外れには停めたくはない。 車で乗り入れることにした。
部屋に入って腰を下ろすと、外は寒そうであるし、私は、もう動きたくない。 ところが家内の方は元気なもので、一人で街に繰り出して行った。 どうやら今日は祝日で、スーパーも半日で閉まり、お店もほとんど閉まっていたという。 それでも、パン屋を見つけて、クロワッサン、チョコレートデニッシュ、ポムデニッシュとやらを買ってきており、部屋で食べたものだった。 ホテルでも軽食は摂れるようになったいたのに、これでは、商売あがったりであろう。
刻々と、景色が変わって、電車とは思えない。 ロープウェイに乗るような感じであった。 登山道もあるらしい。 それも良かろうとは思うが、今となっては、体力も時間もない。
《余談》 前にテレビで観たが、あのプロスキーヤー三浦雄一郎のお父さん (三浦敬三) が、スキーで、モンブランから、このモンタベールまで降りてくるのを、ドキュメンタリーに放映していた。 彼が前に来た時は、『ここから、シャモニまで、滑って降りることができたのに・・・』 と、今回は、通行禁止になっていたらしく、不満そうであった。 それが、90歳のときだったか100歳だったか忘れたが、とにかく、あの、お父さんは、尋常でない。 【補注】 三浦敬三さんは、2006年1月5日、多臓器不全のため101歳で逝去された旨 by Wikipedia
【補注】 三浦敬三さんは、2006年1月5日、多臓器不全のため101歳で逝去された旨 by Wikipedia
氷河メール・ド・グラスや雄大な雪をいただいた山並みが直ぐ目の前にあった。 私は、氷河というものを初めて、ここで見たのである。
ここでの、キバシガラスの印象が強かったのか、以後、よく気がつくようになった。 翌日、プレヴァン (2525m) でも見た。 そこで会った日本人観光客は、ツェルマットでも見たと云っていた。 ヒマヤラでは、8,000m という高地でも生息しているという。 雪山で、しかも高山である。 天敵は少ないかもしれないが、生活するには厳しいものがあると察せられる。 しかし、このあどけない顔を見ていると、なぜか心洗われる想いがする。 きっと、競い合って生きて行かざるを得ない我々とは、対極の世界にいるからだろう。
ロープウェイを降りると、長い鉄製の階段舗道が岸壁に沿ってあり、ここからは歩いて氷河の河床にたどり着くようになっていた。 ジグザグ状に降りていくものである。 10階建てのビルほどの高さがあったろうか。 ロープウェイで下まで行くと思っていたから、時間の配分が大幅に狂ってしまった。 最終電車に間に合わなければ・・・とか、また、ここまで階段を上ることになるが、上りはもっと時間がかかるし・・・とか、心配のタネは尽きない。
ただし、この氷河のブルーを体験するだけでも、ロープウェイで降りてきた値打ちはあるでしょう。 もちろん、時間が早ければ、氷河の トレッキング とかも、体験できるようである。
このロープウェイの最終が何時であったか確認していなかったが、こんなところで取り残されたら 『えれーことになる』 (『大変なことになる』 の岡山弁で、両親が岡山出身であるから、私は良く使う) まだ時間があるといって、氷河の上を散歩してクレバスにでも落ちたら、それこそ、えれ-ことになる。 早々に、引き揚げることにした。
見ると、氷河トンネルの中で写真を撮らせていた、おじいさんとセントバーナード犬が、ロープウェイから出てくるではないか。 それに、受付嬢だとか、駅員さんたちも、続々と、この待合室に集まり出した。 そういうことだったのか、これで様子が分かった。 このモンタンヴェールで働く人も、観光客も、全ての人間は、この最終登山電車で下山する。 それを鳥たちは知っていたのだ。 雨風をしのぐには、最適な場所である。
森の木陰が似合いそうな、かわいい小鳥が、この駅舎のベランダにいた。 駅舎には暖房が入っていて、最終電車の時間待ちをする人も、もう外には出ない。 とても寒いからだ。 イワヒバリを観て、その時、ただ、かわいいと思ったが、こうしてみると、凛とした目元や姿勢から、厳しい環境をものともしない強さが感じられて、感慨を新たにしたものである。 野の鳥たちを観るといつも思う、無事に生きてくれと。 日本でも日本アルプスや富士山の標高の高い、ハイマツ帯より上部の岩石地帯で見られるという。 今の私の体力では、日本での再会は無理かもしれない。
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