グロスグロックナー (1)
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ウィーン Wien に予定より2日ほど早く到着したのも、それなりに寄り道をしないで来たが、当初のドライブ計画に余裕を持たせていたからである。 § 何故に、グロスグロックナー山岳道路なのか このグロスグロックナー山岳道路による峠越えは、前にブルック Bruck 側からリエンツ Lientz へ抜けるために、一度試みたことがあった。 それが雪崩のために通行止めになっていて果たせなかったのである。 その残念な思いが "機会があればもう一度" と、ずっと胸の奥でくすぶっていた。 "逃がした魚は大きい" という心理が働いたかも知れないが、車に乗り始めた頃より、舗装道路よりラフロード、トンネルより峠道が好きだった。 その当時、車といえば、ラリーに人気があった。 現在のように、車を足代わりに使うのではなく、遊びに使うのである。 その影響を受けて、よく真似事もしたし、今も、その気持ちが残っているのかも知れない。 cf. 峠道は閉鎖中 前のときは、5月の開通直後であったから雪も多かったのだろう。 それが、今回はそれより一ヶ月遅いので、雪崩で道路が閉鎖になるようなことはないはずで、期待は余計にはずむばかりである。 そのこともあって、心が先へ先へと進んでいたのかも知れない。 ウィーンから2泊3日もあれば、寄り道しても十分、予定のコースへ戻ることが出来ると踏んだ。 グロスグロックナー山岳道路 § ハイリゲンブルート Heiligenblut
この少し先にグロスグロックナー山岳道路のゲートがある。 いつも通行できるものではなく、また、有料道路である。 通行料金は、28 euro/day (2007/06/11現在) であった。 ハイリゲンブルート Heiligenblut の名前の由来 §§ あれがハイリゲンブルートか?
ここに到る前から、既に、ホーヘ・タウエルン国立公園の中にいたのである。 その峠越えの道を辿っていたのである。 それは刻々と変わる車窓からの景色が教えてくれていた。 舗装道路の快適な道は、益々高度を上げていった。 今まで、直線的だった道も、カーブが多くなった。 既に、険しい峠道の様相で、左手には岸壁がいよいよせまってくる。 右手に見えるのは、急斜面に拡がる牧草の緑だ。 山小屋も見える。 前方に滝が見えた。 岸壁の中腹から吹き出るように白いしぶきが落ちていた。 車道は道幅が広く、車の往来も少なかったので、写真を撮ろうと思い立ち、右に車を寄せて停まった。
ともかく、ブーイングを受けるような運転はいけない。 そういえばツーリングを楽しむ姿は、このルートに入ってから、度々見かけるようになっていた。 みなさん慎重に追い越していった。 私が気を取り直して、再び走り出すと、突如、前方に雪山が見え出した。 この辺りがハイリゲンブロートか。 §§ 評判どおりの美しさ
また、高級ホテルから、民宿や山小屋まで、宿泊設備も十分整っているようだ。 今日は、ここに泊まることにした。 今からでも、時間的には余裕をもって峠越えができるが、天候が思わしくないのが最大の理由である。 山で視界がゼロという、悔しい経験を何度もしているからだ。 とは言え、明日は更に悪くなるという可能性もある。 晴れの補償は何もない。 こちらの天気予報は日本より当てにならないし、大体、天気予報自体あまり放送されていない。 予報というより、ライブカメラで各地の空模様を伝えているようで、正確ではあるが、これは予報ではない。
何しろ、グロスグロックナーと氷河を背景にして、谷間にたたずむ姿が誠に美しい。 このまま、素通りして行くにはもったいない気がしたからである。 それに、その名前の由来を知れば、なるほどと思わせる、いわくありげな雰囲気があった。 ただ、この日のグロスグロックナーは、雲の動きによって、顔を出したり、隠したりで、おいそれとはその威容は拝めなかった。 §§ ハイリゲンブルートの街並み
ハイリゲンブルートの街並みは、教会を中心とした "上の村"と、谷間を流れる川に沿って在る "下の村" からなる。 上の村は、高級ホテルや土産物店が立ち並ぶ、いわばメインとしての村の顔である。 一方、下の村は、民宿やキャンピングカーの宿泊地など、庶民的な村ということが出来ようか。 早く着いたことでもあるし、この時期は、まだ観光客も少ないはずであるから、宿は選り取り見取りであろう。 まずは、ぐるりと一周回ってみることにした。 §§§ 山小屋の道
また、小型車であるから、少々の狭い道でも、山坂でも、何ら問題はない。 それが思ったより急坂であった。 しかも、へアピンカーブの連続で、もちろんガードレールもない。 道は舗装されていたので路肩が崩れる心配はなかったが、家内が横で、きゃぁきゃぁ騒いでおる。 私の運転技術を信用していないようだ。 運転席からは分からないが、助手席側から窓の外を見れば、路肩が見えず、すぐ、すとんと、谷底が見えるだけであったろう。 §§§ 山小屋は山小屋 山小屋に着くと、車が一台置いてあり、老夫婦が庭のベンチに腰をかけてくつろいでいた。 ここに泊まることは出来るのかと聞くと、もちろんOKといって玄関の方を手で差し示した。 それでも、特に案内してくれる様子もなかったから、泊り客というより、ハイキングか散歩でもしてきたのだろう。 それではと、玄関を覗いて見ると、登山靴やらヤッケやらがいっぱい干してあるのが眼に入った。 しかし、声をかけても誰も出てこなかった。 また、隣にも同じような山小屋があったので覗いて見たが、様子は同じである。 § 今はシーズンオフ? このときは未だ、宿は直ぐに見つかるだろうという思いがあった。 何しろ選り取り見取りのはずであるから、とにかく気に入った宿を探そうと走り回った。 隣村まで行って見たが、宿はあるにはあるが、どれも鍵がかかっていて取り付く島もない。 どうやらシーズンオフで、民宿は未だ閉めていると、ここに到ってはじめて気がついたのである。 ならばと、"下の村" に行くことにした。 この下の村を後回しにしていたのは、ここなら必ずあると踏んでいたからである。 その導入路の傍にある民宿の佇まいが気に入ったので車を停めた。 玄関を入って見るが、ひっそりとして人の気配がなかった。 それでも声をあげてみると、中年の男が出てきた。 その様子を見て、これは駄目だなと思った。 とても営業している格好ではなかったからである。 それでも泊まれるものかどうか聞いて見た。 やはり閉めているとのことであった。 ならば、食事もできて、宿泊もできる所をどこか紹介して欲しいと頼んで見た。 すると、下の村を指差して、『あの赤い屋根が見えるだろう。 その隣が多分開いている』 と教えてくれた。 それらしき方向に赤い屋根がいくつか見えたが、大体の見当がついたので行ってみることにした。 その行き方も教えてくれたので良かったが、かなり大回りしなければ行けない。 川を渡らなければならないようで、単純に見た眼の方向では迷子になる。 §§ おばちゃんと眼が合った それらしきところまで来たら、案の定、赤い屋根はいくらでもある。 遠くから見たらそれと分っても、近づいてみるとさっぱり分らないものである。 それでも、食堂があって宿泊もできそうなところが一つ見つかった。 まだ、他にもあるのかもしれないと、物色しながらゆるゆる進んでいった。 ちいさな民宿が並んでいた。 どれもひっそりとしていた。 普通ならば、宿泊客がいると、庭のベンチでくつろいでいたりするものだ。 それがなかったのである。 そろそろ引き返そうかなと思ったとき、2階のベランダからおばちゃんが顔を出した。 思わず、そのおばちゃんと眼が合ってしまった。 夕食のために、どこかレストランがないかと聞くと、先ほど通り過ぎたところのものであった。 やはり、ここしかなかったようである。 宿泊もできるものであった。
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