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鳥紀行 スペイン編 (10)




【10】 05/04/22 (金)  ドライブ旅行 (1) 3日目 戻る次へ


§ トレドの朝
 このパラドールのチェックアウト時限は12時と聞いていたので、今朝は、何事もゆっくり目である。 今日は、アビラ Avila へ向かう予定である。 


§§ 部屋の窓から鳥観 (とりみ)
 朝早く目が覚めたので、窓から バードウォッチング でもしようと思って顔を出すと、ヤマドリのような、 キジ のような、見かけぬ鳥が庭の岩陰にいた。 それが、気付かれたか、慌てて草むらの中に消えてしまった。 そのとき、カメラの電源も入れていなかったから、撮り損なってしまった。

 これは、また、デジカメの問題でもある。 何しろ、バッテリーの消耗を気にして、出来るだけ電源は入れないようにしているからである。 だから、鳥を見つけた場合、逃げないでいてくれよと頼んでから、電源を入れることにしている。 それから撮影できる状態になるまで、数秒はかかるからだ。 これがいけない。 鳥たちは、私の頼みなど聞く耳持たずで、直ぐに、逃げにかかることが多い。


 しかし、これも、バードウォッチャー としての心構えが足りないということに尽きる。 デジカメの特性なり、欠陥なりを承知しているのであれば、もっと慎重に行動すべきであろう。 この場合のように、いきなり顔を出すなど素人のすることである。

 ところが、私も、ただの素人ではない。 この種の鳥は、隠れるのは上手いが、遠くには逃げないことを知っている。 一時間も知らぬ振りをしておれば、必ずや、また、姿を現すであろう。 先に、朝飯を済ませて、再び挑戦することにした。


 今度は、先にデジカメの電源を入れておいて、そっと覗き見した。 私の思ったとおり、同じところにいた。 ところが、私がカメラを構えたのと同時に、相手も気がついた。 一瞬であったが、ピンボケ写真が撮れていた。 長々と言い訳をしたのも、そのためである。

 後で分かったが、アカアシイワシャコ である。 まぁ、同定 できただけでも良しとしよう。 後にも先にも、ここで観ただけである。

 他に、ゴシキヒワクロウタドリカササギ がいた。




§§ ジャグジーが動かない
 昨晩のことであるが、風呂に入ったとき、バスタブの中に、それも、前後左右に、見かけない、丸い金属製のボールのようなものを発見した。 というより、直ぐに目につくものであった。

 初めは、何をするものか気がつかなかったが、触っている内に、向きが変わるし、ノズルのようにも見えたので、きっとジャグジーであろう考えた。 水流の向きを、好みの方向に変えることが出来るのであろう。



ジャクージ Jacuzzi
 気泡風呂。 穴から空気を噴出し、気泡を発生させる。
 ジャグジー。 商標名。
by 広辞苑第六版より引用







 また、それらしき、プッシュボタン式のパネルも手元にあったから、適当に押してみた。 ところが、これがウンともスンとも言わない。 さらに、思いつくままに色々と試すが、結果は同じであった。 もう、試すネタも無くなったところで、諦めた。 壊れていることにした。

 そう言う訳で、昨晩は、どうも風呂に入った気がしなかったこともあって、ジャグジーがよかろうと、今朝、もう一度試してみようと思った次第である。 お湯を張って、試すうちに、説明ラベルを良く見直すと、お湯の量が、五六個あるノズルの上まで満たされていないと動作しないと記されていた。


 私は、走りながら考えるタイプで、決して、考えてから走るタイプの人間ではない。 これだと思った時には、お湯に浸かって、スイッチを触ったりしていた。 お湯がどのレベルになっていたかは知りもしない。

 こういう場合、急がば回れで、システムのリセットを兼ねて、お湯を一旦抜いてから、再び一から手順どおり、やり直すのが良い。 これは、私の経験則である。


 それなら、初めから手順どおりにしておれば良かったのに、と思うかも知れないが、説明書を読むのを後回しにするのが私の流儀であるから仕方がない。 分かり難い説明書を最初に読むと腹が立つからである。

 ご丁寧にも、手間ひま掛けたものであるが、結果は同じであった。 コトリとも動かなかったから仕方がない、また、壊れていることにした。 お陰さまで、今朝もまた、風呂に入った気がしなかった。







§§ 語り草の朝食
 お決まりのバイキング形式の朝食であるが、何かにつけ、品数も多く、さすが、パラドール と思ったことであるが、中でも、未だに語り草になっている一品がある。 よく生ハムなど、片足丸ごとワゴンに乗せてきて、目の前でスライスしてくれるが、それと同じように、豚ハムが置いてあった。 それが、好きなように、自分でスライスするようになっていた。

 私は、数枚、お上品に薄くスライスして、お皿に、これまた綺麗に盛り付けた。 食べてみると、それがまた、塩加減も抜群で、口に含むだけで、とろけるようである。 中々の美味で、あっと言う間に食べてしまった。


 我に返って、ふと、家内の皿を見ると、それが塊で置いてあるから吃驚した。 吃驚したし、羨ましかったが、顔には出せない。 それなら、もう一度、取りに行けばよいと思うだろうが、ここまでお上品に振舞っておいて、急には態度は変えたくない。 この情けない気持ち、分かっては貰えるかなぁ。






§ アビラ近郊の村で鳥観 (とりみ)
 トレドからアビラ Avila まで、国道 N403 ルートで、およそ 140Km の距離である。 11:30am 頃、トレドを出発して走り出したが、例によって、一直線の道が続くが、いつの間にか、高原の道を行くような風景に変わり、なかなか快適なドライブコースである。 もう少し、もう少し走ったら休もうと思いつつ、適当なところが見つからなくて、ついつい走り続けていた。

 少々疲れを感じだした頃、峠になっていたのか下り坂になり、急に視野が広がって、牧場の風景が現れた。 何故か、生き物に逢えるとほっとする。 ここに来て、車を停め、初めて車外に降り立った。 2時間ほど連続で走っていたことになる。 この坂を下ればアビラの筈である。



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《牧場の風景》 アビラ近郊 Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh



 黒や茶色の牛が、群れて居るのではなく、ぱらぱらと分散して草を食んでいた。 人口密度ならぬ牛口密度も日本とは比較にならないほどゆとりがあるのであろう。 闘牛用の牛ではなさそうであった。 後で知ったが、これがアビラ牛と呼ばれて、アビラ名物という。

 
少し坂道を下っていくと、遠くにアビラらしき街が見える辺りに来て、レストランが見つかった。 やけに大きな駐車場と、石造りの立派な教会と小さな公園があった。


 エスプレッソとアイスクリームで一息ついたところで、公園を散歩していたら、空にはチョウゲンボウ?が、公園の土塀には、ニシコクマルガラス が、一本立ちの木の枝には、カワラヒワ?が、庭には、イエスズメ がいただけであった。






§ アビラ到着
 小休憩のあと、数十分でアビラに到着した。 アビラは南にグレドス山脈 Sierra de Gredos が走り、夏でも夜は涼しいところという。 そう言えば、峠を越えて来たのかも知れない。 峠を感じさせない整備された道であった。 それでも、観光案内の写真で見れば、冬であろうか、バックに雪化粧のアルプスのような山脈があった。 雪も降り寒いそうである。







§§ アビラの駐車場
 アビラの城壁の中へ、車で乗り入れが出来るようであったが、こういう旧市街地へは入らない方がよい。 そう思って、城壁の外にある地下駐車場に入れた。 それが城壁の門のすぐ近くなのに、階段がない。 いわゆる車椅子でも上れるように造られたスロープの道であった。

 これが、やけに長くて、舗装されてはいるが、ハードケースを引いて上がるには、がたがた道で、想像するだけでも、しんどそうであった。 これでは、折角の車の利便性が台無しである。

 今日は、この旧市街地のホテルにする予定なので、荷物の運搬のことを心配しているのである。 本来なら、先ほどのアビラ近郊の街に宿を求めていたところであるが、民宿の気配が無かったから仕方がない。


 九つある城壁の門の一つ、ラストロ門 Puerta del Rastro をくぐったところに、レストラン兼ホテルがあったから、迷うことなくそこにした。 正確には、ホテルではなく、オスタル Hostal である。 レストランのカウンタで、部屋が空いているかと聞くと、案内してくれた。


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《ラストロ門》 アビラ Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh



 ドイツなどに多いガストホフ Gasthof というレベルのものであろう。 レストランの2階を宿泊施設にしているものでる。 ここは、2階ではなく、隣接していたが、これが私たちの望むものである。

 エレベータ無しの2階の部屋であったが、遠くのエレベータ付より近くの宿が良い。 何しろ、石畳の道も荷物運びは大変である。 いづれにしても、この城壁に囲まれた旧市街全体が世界遺産であるから、そう簡単には近代化は出来ないのかもしれない。





 
世界遺産の名前 地区 種別 登録年
アビラの旧市街と城壁の外の教会 アビラ スペイン 文化遺産 1985年
 
(注) 文化遺産は、普遍的な価値のある記念工作物、建造物、遺跡など。

cf. 《アビラ》 by Wikipedia






 このラストロ門のラストロ rastro は、フリーマーケットとか蚤の市という意味もあって、入ったところに小さな広場があり、その名もラストロ小広場 Plazuera dei Rastro という。 車がニ三台停めてあった。 宿の主は、そこに停めても良いと言ってくれたが、レンタカーではそうも行くまい。

 荷物を運び込むため、再び駐車場に向かった。 来るときも気になっていたが、スロープの始まる地点にエレベータ室らしき建物があった。 人用にしては大きなエレベータで、どちらかと言うと日本でもよく見かける駐車棟のエレベータの様でもあるが、それにしては小さいような気もする。 いづれにしても、これが駐車場へ通じるエレベータでなければ、他に思いつくものがない代物であった。 ところが、入り口がロックされているから、訳が分からない。

 インターホーンと監視カメラがあったので、ボタンを押してみた。 すると直ぐに応答があったので、ドアを開けてくれと頼んでみたが、何やら訳も分からないことを言って、ぷつりと切れた。 再度、ボタンを押したら、同じことであった。 さらに、もう一度押してみたが、もう、反応してはくれなかった。 監視カメラで観ているのであろう、仕方がない、荷物を引いて上がるしかなかった。 未だに何の施設か分からない。 また、利用者も見かけなかった。




§§ サンタ・テレサ修道院 Convento de Santa Teresa の演奏会

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《サンタ・テレサ修道院》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh
 荷物を置いて、早速、散歩に出かけることにした。 サンタ・テレサ修道院はホテルから近い。

 特に、この修道院を目指してきたわけではなかったが、中に入れそうであったから入ってみた、という感じである。

 タダで貰える物は貰うという、いつもの意地汚い性格がでた。 そして、それが幸いした。

 入り口の扉を開けて進むと、観光客か地元の人か知らないが、薄暗い中に数人の姿が見えた程度で、特に人気の観光スポットではない様子である。

 パイプオルガンとヴァイオリンの演奏が厳かな雰囲気を醸し出していた。











 ふと、上を見上げると、人の姿が見えた。 歳若い青年がヴァイオリンを演奏していた。 丁度、入り口の上が二階構造になっていて、下から眺めると、パイプオルガンが右隅にあり、正面は、そのテラスのように見える。

 そして、ヴァイオリンの演奏者は、そのテラスの手すりの前に立ち、パイプオルガンの方を向いて演奏している。









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《舞台装置》 サンタ・テレサ修道院 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh
 あたかも、空中に浮かぶ舞台装置の様で、また、パイプオルガンとヴァイオリンの音は、音響効果の良い教会の建物中で、より一層増幅されるが、一点の曇りも無く、透き通った音色を奏でていた。 それでも、BGMでも聞くかのようにして、誰もが静かに祭壇などを眺め歩いたりしている。

 一つの演奏が終わると話し声が聞こえてきた。 姿は見えないが、どうやら、パイプオルガンの人が先生のようで、ヴァイオリンの若者は、うなずいたりしていたから、レッスンを受けているのであろう。 演奏会の練習をしている様子であった。





















 私たちは、次の演奏も聴きたくて、長椅子に座って待つことにした。 次に始まった曲が、何と言う曲なのか知りたいと思ったが、今となっては成す術もない。 聞いたことがあるようで、ないようで、それでも、その美しさに最後まで持ちこたえることが出来ず、思わず涙がこぼれてしまった。





 さらに、次の演奏も聴こうと、長いこと待ったが、結局、次はなかった。 もし、この修道院での演奏会にめぐり合えたら、あなたは幸運の持ち主であるに違いない。 お見逃しなきよう、お勧めします。










§§ 城壁の外へ
 城壁内は一周しても大したことはない広さである。 そしてまた、その城壁を外から遠望する姿が美しいと案内書にはあった。 その上に、ぐるり一周、完全な形で城壁が残されているところが良い。 ローテンブルクやネルトリンゲンに例えられようか。

 その遠望するのに最適の地がクアトロ・ポステスとあるから、まずそこを目指していく。 サンタ・テレサ修道院を出て道なりに進むと、橋の門 Puerta del Puente という意であろう、アダハ川 Rio Adaja に架かる橋が近くにある。 この旧市街は、長方形をなして四方を城壁に囲まれている。 そして、この門は東西に長い城壁の西側にあたる、短辺の真ん中に位置するから、日本なら西門と名付けるところかも知れない。

 さらに、この門から西側一帯は、街外れに当たり、アビラの街はこの旧市街地を包むようにして、東側に大きく広がっている。

 城門を出ると、ぐっと視界が広がり、中々見晴らしが良い。 その橋を渡っていると直ぐ横に、いかにも人専用の小奇麗な橋が直ぐ横にあるのが眼に入った。 橋の中央付近で、川の景色を眺めたりしている人の姿が見え、見るからに楽しそうである。 見ると川沿いが公園のようになっていて、どうもそこから通じているようであった。

 車が往来する、この殺風景な橋とは違って、人専用の橋である。 一段低く作られており、大通りからは見えなかった訳だ。 わざわざ引き返して一旦公園に入り、その橋を渡ったが、二度手間を食うのは余裕が無いせいである。 目指すところへ、見かけ上の最短を進むことが多いが、結局遠回りする破目になる。



§§§ クアトロ・ポステス Quatro Potes
 対岸に渡ると町中に至り、公園を離れなければならない。 この先直ぐのところにクアトロ・ポステスがある筈であるが、町並みに邪魔されて見えなかった。 田舎道を探して見るが、川辺に向かうものばかりで、仕方なく車も往来する道を行くが、実際には車は来なくて、あっという間に通り過ぎて、四本の柱が見えた。


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《クアトロ・ポステス Quatro Potes》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh



 クアトロ・ポステスは 「四本の柱」 という意味らしい。 アクロポリスのような大石柱を想像していたから、拍子抜けしたが、よく公園で見かける、あずま屋の柱を石柱にしたほどのものであった。 何でも、デカければ立派に見えたりするが、そんなものではなかろう。 四本の石柱の真ん中に石造りの、実際の大きさであろうか、十字架が立っていた。

 むかし、サラマンカ街道を通る巡礼行列があって、そのとき司教がここに来て、その巡礼者たちを祝福したという。 そのサラマンカ街道というのが先ほどの橋を渡ったところの道であり、大学の町、サラマンカに至る。 ただ、今はそのことよりも、アビラの城壁を遠望するのに最適の場所と言うことが宣伝されているだけである。


アビラ遠望 Photo by Kohyuh 2005/04/22
アビラ遠望 Photo by Kohyuh 2005/04/22






§§§ バル Bar の軽食は美味い
 クアトロ・ポステスからの帰りは、同じ道を行くのは嫌である。 川辺の道を辿ることにした。 中々すんなりとは行かなかったが、それはそれで面白いし、何より、気持ちが良い。 鳥観 (とりみ) も兼ねてのことである。



【ゴシキヒワ】
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《ゴシキヒワ》
アビラ スペイン
Photo by Kohyuh 2005/04/23

分類       スズメ目アトリ科
全長 (L)     14 cm
学名       Carduelis Carduelis
英語名      Goldfinch

★左のサムネイル写真をクリックすると拡大する


 ゴシキヒワが数羽で、民家の庭の芝生にいた。 何やら啄ばんでいる。 いつもより随分と近いところで見ることが出来た。 後にも先にも、これが一番近くで観たゴシキヒワであった。 見事に五色ある。










 川にはマガモがいたが野生かどうかは分からない。 レストランのある付近が、妙に人工的な作りになっていたからである。 観光客を思ってのことかも知れないが、逆効果である。 手を加えない、そのままのほうが余程美しい。

 実は、そのレストランに入ろうか止めようか迷っていた。 玄関の前にせせらぎがあり、小さな橋を渡って入るようになっていた。 いかにも高級そうでいて、しかし、人工的な演出振りが、気に食わないからである。


 しかし、ここを逃せば、しばらく食事も、休憩も出来そうになかった。 丁度そのとき、帰り客が橋を渡ってきたので、ついつい釣られて入ってしまった。 これが当たりであったから面白いものである。

 入ったところがバル Bar になっていた。 この奥の方には、テーブル席が幾つもあり、窓辺から川が眺められる雰囲気である。 また、2階もレストランになっているようで、さらに眺めが良さそうである。

 私達は、レストランは断って、このカウンタに腰を下ろした。 その中にいた、若くて、また、なかなかの美男子の店員が迎えてくれた。 スペインでは珍しく、英語も喋れた。 他に客はいなかった。


 カウンタは寿司屋のように、前にガラスのショウーケースがあり、タパス tapas というのであろう、各種の料理が大皿に盛られて並べられている。 それを指で指し示して注文すると、小皿に取り分けてくれるから、メニューを見て頼むのと違って気安く、また、安心である。




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ピンチョスの数々 アビラ スペイン Avila, Spain
2005/04/23 Photo by Kohyuh


 また、そのショウーケースの上には、一口大にカットされたパンの上に、サーモンであったり、魚の酢漬けであったり、アンチョビであったり、トマトであったり、また、櫛に刺したものなど、十種類程のピンチョス pinchos というのであろうか、綺麗に並べてある。 さらに、カウンタの天井には、イベリコ豚の生ハムであろう、多くさん吊るされていたから、食欲をそそられることこの上ない。 市販もしているらしいが、片足一本は持っては帰れまい。

 cf. タパス と ピンチョス http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/jiten/303.html


 どれもこれも食べてみたいが、家内の手前、馬鹿食いは出来ない。 お酒の変わりに、エスプレッソをちびりちびり飲みながらのつまみ食いではあるが、気分はヘミングウェイである。


 その後も、何度か食べたが、ここのが一番美味かった。 また、この料理は、バルへ行けども何時でもあるものではない。 朝早くは、まずないであろう。 昼食時が狙いである。 要するに、店をオープンしてから作り始めるからだと思われる。 運良く行き当たると、次から次えと新しいものが運ばれてくるから嬉しいものがある。

 夕食もこの店で食べたかったが、20時にオープンということでもあるし、とても歩く気にはなれないのであきらめた。







§§§ コウノトリ (シュバシコウ) の街
 クアトロ・ポステスから眺めた、あの城壁に向かった。 ここからは、向かって左側にある北側の門から入って、一番奥の東側の門の傍にあるインフォーメーションへ行くつもりである。 これはまた、お約束のことである。

 城壁は広い芝生に囲まれていた。 舗道を歩いていては、えらく遠回りになるし、広いとは言え、車がぶんぶん通る道路脇を通るのは面白くない。


 日本人はお行儀が悪いと思われてもいけないが、楽な方を歩きたいと思うのは、人情というものである。 幸い芝生の中に、獣道のように細い道がついていた。 同類の輩が多いということであろう。



コウノトリの巣 カルメン門の塔 Photo by Kohyuh 2005/04/22
《コウノトリの巣》 カルメン門の塔
Photo by Kohyuh 2005/04/22


 それでも、こんなところを歩いているのは家内と私の二人だけであった。

 また運の悪いことに、SL風の プチトラン が側を通って行ったから、乗っている観光客に、しっかりと見られてしまった。

 日本人かどうかは判別できないとしても、東洋人に見られることは間違いない。 東洋人の品位を汚してごめんなさい。

 そちらに気を取られて気付くのが遅れたが、セゴビア で観たのと同じツルのような大きな鳥が、私たちのすぐ上空を飛んでいるのに気がついた。

 随分、低空飛行である。 眼で追っていると、大通りの向こう側の民家の煙突の上に舞い降りた。 そこに巣があった。



















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《空を舞うコウノトリ》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh
 同時に、よく見回すと、あちらこちらと、煙突があるところに巣が見える。 また、三々五々、空を舞うコウノトリが現れては、また、消えていく。

 城壁の門にある塔の上にも、それも三つ四つの巣があり、そこにペアでいたり、独りでいたりする。

 昨年、フランスのカマルグで観た シュバシコウ であった。 日本の コウノトリ とは嘴の色が違う。 嘴が赤い色をしているから朱嘴という。

















 あたり一面、コウノトリ (シュバシコウ) という感じであった。 昔、絵本や写真で観た、まさに民家の煙突の上のコウノトリであった。

 これだけ身近にいれば、また、実際に、かいがいしく子育てをする姿を眺めれば、赤ちゃんを連れてくるという話もうなづける。 この話の本家本元がこのシュバシコウである。








 クラッタリング clattering
 コウノトリが巣に帰ってくると、カタカタカタ ・・・ と嘴を鳴らし、待っている雌に挨拶する。 クラッタリング clattering と言うそうである。

 また、雌の方も雄の労をねぎらうように挨拶を返す。 それだけではない、クラッタリングしつつ、くびを上下に振る動作が付加えられている。 『ただいま!』 『お帰りなさい!』 といった、一言挨拶ではないのである。

 もちろん、私は、どちらが雌で、どちらが雄かは分からない。 しかし、それは、この場合関係ないであろう。

 お互い首を振って挨拶を交わす姿を見れば、どんなに仲の良い夫婦でも、吃驚するに違いない。 実に仲睦まじい。
 cf. ドラミングの定義について
 cf. ドラミング




 そして、このアビラの人たちは、その姿を間近に見て生活しているのである。 悪かろう筈がない。 子供たちにも、良き手本として写るに違いない。 カメラを構えたり、わぁわぁと大騒ぎしている私達は、少し奇異に写るかもしれない。 それ程に、誰しも見慣れた光景で、風景に溶け込んでおり、アビラでは、特別のものでもなんでもないようであった。 また、これ以降の訪問地でも、当たり前のように見かけるようになるのである。









§§§ 城壁 Las Murallas の散策
 カルメンの門 Puerta del Carmen から入ると城壁の上を歩いている人たちが見えた。 例によって、高いところとなれば行かずばなるまい。 有料であった。 18:30 までとあるから、あと1時間もなかったが入ることにした。 それが時間が来ても、誰も帰る人はいなかった。 入場は出来ないが、退出は自由のようである。


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《カルメンの門 Puerta del Carmen》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh





 いろいろ城壁を歩いたことがあるが、これほど整備されて立派なものは無かったような気がする。 スペインで最も美しく、また、完全な形で残っている城壁と言われているそうだ。 1090年に着工され、全長 2.5km と聞くが 9年の歳月を要したという。

 城壁の道幅は二人並んで歩けるほどであるが、壁そのものは平均で 3m というから立派なものである。 確か、ハイデルベルクの城が 5m もあって自慢していたが、単独の城であるから比較することは出来ない。 このアビラは城塞都市である。




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《城壁の道幅》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh



 このアビラ Avila は、カスティーリヤ・イ・レオン Castilla y Leon 地方にあり、これまで通ってきた トレドコンスエグラ のあるカスティーリヤ=ラ・マンチャ Castilla-La Mancha 地方と同じく、かってカスティーリヤ王国であったと思う。 そして、その共通点は、イスラム教徒からの国土奪回 (レコンキスタ reconquista) を果敢に戦ったところである。 そもそもカスティーリヤという言葉自体、城という意味があるといから、うなずける。

 cf. カステラの語源


 城壁は、多くさんの塔と塔の間を壁で繋ぐようにして構成されている。 そして、塔は見張り台の役目もしているに違いないから、なるほど眺めがすこぶる良い。 暇な人もいて、数を数えたら88塔あったという。 城壁の道を歩いていると、所々に小さな横道があったり、階段があったりするが、全て、この塔の上に出るものであった。 逆に、塔に行かなければ外の景色は見えない。

 この城壁の道では、初めて見る鳥も多くさんいた。 チョウゲンボウ と思うが、数十羽ほどがカテドラルの屋根を塒 ねぐら にしているのか、ドバトでも見るようにいた。 それが飛び立っては、また、舞い戻ったりしている。 とても狩をしている様子には見えなかった。

 セリンタイリクハクセキレイニシコクマルガラスムジホシムクドリゴシキヒワ がいた。 それとピンボケ写真であるため、同定 できないものもいた。




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《サン・ビセンテ門 Puerta de Vicente》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh
 この城壁の東部にある二つの門は、他の門に比べていづれも立派なものであった。

 ここには カテドラル Catedral もあるし、門の前方には街並みが続いているから、こちら側が正門に違いない。

 サン・ビセンテ門 Puerta de Vicente の上から覗いて見たら、それほど高さはないが、吸い込まれそうであった。
























 今夜の宿 (オスタル) のあるラストロ門は、このサン・ビセンテ門に比べたら、いわば、勝手口のようなものである。 そして、城壁の道も、この カテドラルが前に立ちはだかって、これ以上は、先には行けないように通用門が閉められていた。



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《カテドラル Catedral》 アビラ
Avila, Spain 2005/04/22 Photo by Kohyuh



 しかし、散策できる城壁は、その向こう側にもあるようで、聞くと、一旦ゲートを出て、また、別の入り口から入るようになっているとのこと。 それも、今日は門限の時間が過ぎて閉鎖されており入れない。

 もちろん、インフォーメーションも閉まっていた。 それもその筈で、まだまだ明るいとは言え 20:00 近い。 切符は明日も使えると言うことである。 要するに、2枚綴りであった。









§§§ ホテルのレストラン
 宿に帰って来たらレストランのカウンタに若くて綺麗な制服姿の受付の人がいた。 予約の電話番でもしているのかも知れない。 スタッフ達が開店準備中であろう。 奥の部屋で人の気配がする。 まだ店はオープンしていないようだし、もちろんお客はまだ誰も来ていない。 この部屋は待合室にもなっていて、大きな暖炉もあった。 火が入っていたようにも思う。

 レストランは、普通 20:00 オープンの筈であるが、未だ、がらんとしていた。 店は何時に開くのかと聞くと、21:00 と言うから吃驚した。 マドリッドのパエリア専門店でも 20:30 であった。 こちらの様子に気付いて、日本ではどうなのかと聞いてくるから、18:00-19:00 頃と応えると、今度は彼女の方が驚いていた。

 文化の違いは面白い。 いっぺんに打ち解けたムードになった。 英語も上手である。 お勧め料理を聞いてみた。 すると、即座に、アビラ牛のグリルで、これはアビラ名物と教えてくれた。 そう言えば、アビラに入る前に休憩したところが牧場になっていて、牛が点々といた。 日本のようにすし詰め状態ではない。 太陽と豊富な食料に恵まれ、のびのびと育てられたものが、不味かろう筈がない。

 そして、もう一つが豆のスープである。 これは、口に合うかどうかは分からないが、アビラ特産の豆を使った、私たちがよく食べている家庭料理であるという。

 私は、豆料理が日本人の口に合わないことを何度も経験してきているが、彼女の説明を聞いて納得した。 口に合うかどうかは分からない。 でも、アビラの家庭料理を味合わなくて、アビラに来た意味がないと言っている。







フィッシュアンドチップス fish and chips
 彼女の言うとおりだ。 英国での イングリッシュ・ブレックファースト にしても、美味くはなかったが、だからと言って食べてみなければ伝わるものも伝わらない。 私は未だに、フィッシュアンドチップスを、油ギトギトで、ただ、不味そうだからという理由で食べなかったことを後悔している。

 cf. 一期一会



(解説)
 英国の大衆向け料理で専門店で売っており、魚のフライに chips (つまり French fried potatoes) を添えたもの;

 魚は cod (タラ)、sole (シタビラメ)、plaice (ツノガレイ)などであり、これに塩と酢をかけて指でつまんで食べる;

 紙に包んで持ち帰るが、路上や車内で食べる人も多い;
 最近は米国でも売っている

 
by New College English-Japanese Dictionary,
6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998





 cf. コンチネンタルと呼ばれる訳






折鶴のこと
 スペイン語のメニューを見て、彼女のお勧め料理が注文できるかどうか心配であるというと、私もその場に居るから大丈夫と言ってくれた。 ここで、お礼にと、家内が折鶴を折って見せて、それを彼女にプレゼントしたら、大いに喜んでくれた。

 一旦部屋に戻り、あまり定刻どおりでも、食い意地が張っていそうで、まずいかなと10分ほど経ってからレストランに向かった。 受付には誰もいなかった。 案内されて席に着くと、既に満席状態であった。 それも、入り口からは見えなかったが、奥行きがある、思ったより大きい部屋である。 四五十人は食事できるだろう。

 更に、後から来た人も別室か、2階か、この席からは見えないが、どこかに案内していた。 既に食事を始めている人も多くさんいたから、皆さん、定刻どおりに来たようである。

 遅い時間の夕食を好むというが、強がりを言って待ちかねていたのではないか。 一分一秒を競って駆けつけたに違いない。 訳が分からない。 先ほどのがらんとした状態は微塵もない。 何処からか人が湧いてきたようである。 余程、人気のある店かもしれない。

 メニューを持って来てくれたのは、給仕エプロン姿の小太りの活発そうなオバサンであった。 私は、助けてくれると言った受付嬢を眼で探した。 すると、入るときには気がつかなかったが、入り口付近で黒い制服姿の男性と並んで立っているのが眼に入った。 見るからに給仕の人達とは一線を画していた。

 私はアイコンタクトを送るが、笑顔を返すのみで動こうとはしなかった。 しばらくして、先ほどのおばさんが注文を聞きに来た。 アビラとか、肉とか、スープとか、豆とかの文字を探して、また、オバサンに説明を聞いたりして、教えられたお勧めメニューらしきものを選んだ。

 そして、運ばれてきた料理は、間違いなく、お勧めのものであると確信した。 厚さはないがお皿いっぱいの大きい肉であったし、豆料理も、まぁ、こんなものであろう。

 また、あのオバサンは、よく身体が動き、見ていて気持ちが良い。 そんなこともあって、勘定のとき、家内が彼女にも折鶴を折ってプレゼントした。 すると、『やったぁ』 と言う風に、先ほどの受付嬢の方にそれを見せる仕草をした。

 これで様子が分かった。 受付嬢は、折鶴の話も、お勧め料理のことも、給仕の人に話していたのであろう。 そして彼女は、私のメニュー選びにも、一役買ったに違いない。 彼女は英語は出来ないが、予定通りの注文を導くように、上手く説明できたと実感したに違いない。 もう、23:00 を回っていた。







  アビラの風景 (スライドショウ )



オスタル エル・ラストロ Hostal El Rastro
【Hs】 2★
【住】 Pl. gel Rastro, 1
【TEL】 920-211 218
cf. Hs : オスタル Hostal は、ホテル Hotel より等級の低い 小ホテルのこと


エル・ラストロ El Rastro 2005/04/22 (泊)
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