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鳥紀行 フランス編 (12)




【12】 2004/04/26 ヴィエルゾン Vierzon へ 戻る次へ


 cf. 《行程図 フランス編》 参照



§ 2004/04/26(月) ドライブ旅行 6日目
 昨日は、ここトゥール Tours まで急ぎ足で来たのは、ヴィエルゾン Vierzon でレンタカーを返却したいからである。 明朝 10:00 am が期限というのが今回のレンタル契約だ。 まあ、ここまで来ればヴィエルゾンまで百数十キロほどであるから、今日は十分に時間的な余裕があるといえよう。






 §§ 出発 
 いよいよ第1回目のドライブも最終行程ということで張り切って 9:30am にはチェックアウトした。 早々に、かねてから期待の シュノンソー城 Chateau de Chenonceau に向かうことにしたのである。


 今日の予定
 トゥール Tours =35Km= シュノンソー Chenonceaux =89Km= ヴィエルゾン Vierzon









 §§ ロワール川と分かれて
 ロワール川は、ここトゥールで支流のシェール川 Cher と合流しており、目指すシュノンソー城はこのシェール川沿いにある。 従って、これまでロワール川に沿って車を走らせてきた来が、ここでお別れである。 シェール川上流に向かって進む。

 cf. ロワール川 Loire


 シュノンソーには予定どおり一時間ほどで着いた。 着いたことは間違いないが、お城がどこにあるか分からない。 街並みの風情から、この辺りだろうと思いつつ、そのまま進むと小さなシュノンソー駅があった。 無人駅らしい。 如何にもという風であった。

 案内板があるはずだが、見落としたのであろう、見つからず、ここでUターンしたように記憶する。 お城は街並みの中にはない筈である。 通り越したに違いない。

 しばらくウロウロしていると案内板はすぐに見つかった。 その指示通りに、大きな鈴かけ?の並木道を進むと鉄道の踏切があり、さらに進むと駐車場があった。


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大きな鈴かけ?の並木道 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh
(遮断機の下りた踏み切りと、右下隅に事務所が少し見えている)





 ここからは、お城は見えなかったここからは、お城は見えなかった ここからは、お城は見えなかった。 ただ、綺麗に整備された公園のような風景がそれを予感させていた。 見ると、すぐ近くに満開の藤の花に飾られた瀟洒な事務所があり、ここで入場券を買うようである。




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満開の藤の花に飾られた瀟洒な事務所
Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh





 面白いことに入場券でもクレジット払いが利いた。 モン・サン・ミッシェルでもそうであった。 私が現役の頃からフランスは ICカード先進国で知られていたから、クレジットカードでも一歩先を進んでいたようである。 最近になって、やっと日本でも小口払いがクレジットで出来るようになったばかりである。






 《出合い》
 入場券を買うために事務所に入ると若い、いかにも感じのよい、日本人夫妻にであった。 英国に駐在しているそうで、休暇を使ってお城廻のドライブ旅行である。

 ただ、現役であるから仕方がないが、ロンドンからの2泊3日の旅という慌しいものであった。 シュノンソー城を見学したあと帰国するそうである。

 しかし、このように気軽にドライブ旅行できる環境や時代が羨ましい。 ヨーロッパなら国内旅行と同じ感覚であろうか。 というより、日本での国内旅行の方が、よほど高くつく。

 ホテル代は高い、民宿は数が少ない、食事代も高い、高速道路代や交通費が馬鹿にならないと、数え上げれば切りがない。

 日本には、どこに出しても恥ずかしくない観光資源がいっぱいある。 観光資源大国と言ってもよいほどなのに、このままではもったいない。










 §§ シュノンソー城 Chenonceaux で鳥観 (とりみ)
 お城の入り口ゲートを入ると石橋が架かっており、その下には小川が流れていた。 濠 (ほり) と言うほどのものではないが、シュノンソー城内との境界を主張していた。 その石橋を渡り、並木道が続く道を行くと、何やら鳥の気配がする。


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シュノンソー城内との境界 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh





ニシコクマルガラ
 シュノンソー城へのアプローチを進むと早速、ニシコクマルガラスが迎えてくれた。 ベルサイユでもそうであったが、プラタナス(鈴かけ)の木にいた。 相変わらず白目をむいたおっさん顔である。 顔からして人の気配がするところがお好みのような気がする。


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《ニシコクマルガラス》
シュノンソー城 入口付近 フランス
Photo by Kohyuh 2004/04/26
分類       スズメ目カラス科
全長        L33-34cm
学名       Corvus monedula
英語名      Jackdaw

★左のサムネイル写真をクリックすると拡大する




 コンラート・ローレンツが 「ソロモンの指輪」 で、絶賛しているコクマルガラスは、この鳥のことらしい。

 白目をむいて怒っているように見えるけれど、人間で言う白目ではなく、虹彩の色が白いためで、怒っている分けではない。







 《白目をむく》
  "白目をむく" とはよく使う言葉である。 "白目をむいて怒る" とか、"白目をむいて倒れた" などと言ったりする。

 これは、その行為や症状が、眼 (まぶた) を大きく開けさせる結果、目の玉の白い部分が、普段より大きく見えるからで、何も意識して、白目を見せているのではない。

 普段見えないものが見えると、"わざわざ、まぶたをむくように開けている" かに見えるのである。



 また逆に、意識的に白目をむくこともある。 歌舞伎役者が大見得を切るときによく使うものだ。 普通ではないことを強く印象付けることができる。

 これは 「眼 (まぶた) を大きく開けて、両方の目をやぶ睨みのように引き寄せる」 と、眼球の白い部分がより強調されるという技の一つだ。

 この白目の部分は、人間の眼球自体が白い色なので、それを無理をして見せていることになる。 誰でもできるものではない。




 一方、青い目、黒い眼というのは、虹彩 (こうさい) の色が、そのように見えるのである。  そして、虹彩はカメラで言えば絞りの役目をするもので、また、虹彩で囲まれた開口部を 瞳孔 (どうこう) と呼んでいる。

 cf. アイリング



 この瞳孔のことを、科学的には瞳 (ひとみ) というらしいが、私は、虹彩と瞳孔を併せたものが "ひとみ" ではないかと思う。

 瞳孔は誰でも黒い。 色の付いた瞳孔などない。 "美しいひとみ" などと言う場合、瞳孔だけでは不十分であろう。



 前置きが長くなってしまったが、ニシコクマルガラスやカケスの白目は、この虹彩の色であり、決して、"白目をむいている" のではない。 更に付加えれば、本当の意味で、白目をむく鳥はいないと聞いたことがある。


 cf. ニシコクマルガラス
 cf. カケス




 世界のベストセラーという、この本を読んで以来、是非とも会って見たかった鳥の一つである。 なるほど、いい意味で賢そうだ。 普通、カラスと云えば悪賢いイメージがあるが・・・。







 さらに進むと小さな水路があり、マガモ (左下) がいた。 これは一応証拠写真は撮ったが、観る限り日本で見るものと変わりない。 しかし、よく見ると嘴 (くちばし) が黄色くない。 もしかしたら、合鴨かもしれない。




Magamo2_chenonceaux Kisekirei2_chenonceaux
マガモ (合鴨?) キセキレイ ♀
シュノンソー 2004/04/26 Photo by Kohyuh


 また、近くに キセキレイ ♀ (右上) と思うが写真は鮮明ではない。 図鑑で調べるとキセキレイはフランスでも 留鳥 として普通にいるようである。








コクチョウ
コクチョウ
《コクチョウ》 Cygnus atratus Black Swan
シュノンソー 2005/04/26 Photo by Kohyuh
 アプローチをそのまま真っ直ぐ進むと、次第に目の前が開けて芝生が広がり、その中にコクチョウが一羽でいた。

 しかし、これは、見る限り如何にも飼い鳥風情である。

 それが、間近に見ると大きくて、やけに首が長い。

 池や湖ではその長い首も役に立ちそうで、また、絵にもなるが、芝生の上では邪魔なだけである。









 §§ シュノンソー城 Chateau de Chenonceau
 その芝生の広がる庭園の先にはお城が見える。 お城といっても威圧感が全くない、いわゆる館である。 何しろ代々の城主が女性であったから、その感性で増改築されてきたのであろう。 「女の城 le Chateau des Dames」 または、「6人の女の城」 と呼ばれているそうである。

 それでも、五稜郭ほどではないが、よく似た小さな掘割がある。 かっての城塞の面影が残る。 また、シェール川であろうか、その川に橋を架けたように横たわる館の構成は、敵の侵入を防ぐための跳ね橋があったところという。

 戦のための城からお屋敷として作り変えられた。 そして、その工事の陣頭指揮をとったのも女性というから納得である。 その独特の景観が人を引き寄せる。





chenonceaux 
シュノンソー城 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




 実際に、15世紀の頃は城塞であったそうで、その名残りの一つとしてマルクの塔がある。 当時のこの辺りはアンボワーズのマルク家の封土であったが、金策尽きて売却されたらしい。


 封土 ほうど
「大名 (ダイミヨウ) の領地」 の意の漢語的表現

 by Shin Meikai Kokugo Dictionary, 5th edition (C) Sanseido Co., Ltd. 1972,1974,1981,1989,1997




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城塞の名残りの掘割 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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城塞の名残りのマルクの塔
Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh










 §§§ チャペル
 お城の中に入ってみると豪華絢爛というものではないが、このお城の主であった女性たちの 確執の物語や歴史 を知る人達にとっては興味深く眺めることが出来たであろう。

 今になって二三聞きかじったが、その話を知っていたら、もう少しは見方も変わっていたかも知れない。 当時の記憶で印象に残っているのは、

①チャペルのステンドグラスが綺麗だった。
②調理場が水面ぎりぎりにあって、展示されていた各種の調理器具が珍しい。
③調理場から、アーチ形水門の天井を見ることが出来たから不思議である。 いったい調理場はどこに位置するのだろう。
③生花が綺麗であった。


 という、程度の低いものであるから我ながら情けない。 いったいお前は何を観てきたのか、とお腹立ちの方も居られよう。



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チャペル Chenonceaux, France
2004/04/26 Photo by Kohyuh




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アーチ形水門の天井 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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フラワー・アレンジメント
Chenonceaux, France
2004/04/26 Photo by Kohyuh




chenonceaux_flower2 
フラワー・アレンジメント
Chenonceaux, France
2004/04/26 Photo by Kohyuh








ニシイワツバメ
 お城の中を一巡したあと、折角だからと何の気なしに マルクの塔 の中に入った。 ニシイワツバメの巣があった。 そういえばツバメが飛び交っていたことを思い出した。 もちろん、ニシイワツバメと分ったのは帰国後のことである。 巣の形が違うことさえ、気がつかないでいた。


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《ニシイワツバメ》
シュノンソー城 マルクの塔 フランス
Photo by Kohyuh 2004/04/26
 ニシイワツバメ
 分類    スズメ目 ツバメ科
 全長     L35 cm
 学名    Delichon urbica
 英語名   House Martin

 ★左のサムネイル写真をクリックすると拡大する


 大体、ツバメはどこにでもいるものだから、特に気にしていなかった。

 というより、飛行中のツバメを見てもその違いが分からない。 また、写真に撮れるものでもない、と初めから諦めている。 あぁ、ツバメが飛んでいる! と思うだけである。


 普通のツバメの巣が椀形をしているのに対して、ニシイワツバメの巣は、つぼ型というのであろうか、小さい丸い入り口がある。









 §§§ お花畑
《シュノンソー城のお花畑》
《シュノンソー城のお花畑》 カトリーヌ・ド・メディシスの庭園
2005/04/26 Photo by Kohyuh
 川に向かってお城の右側にお花畑、というより花の庭園があった。

 パンフレットによれば、カトリーヌ・ド・メディシス Catherine de Médicis の庭園というらしい。 チューリップが満開であった。


 この庭園を造ったカトリーヌ・ド・メディシスの前の城主は ディアンヌ・ド・ポワティエ Diane de Poitiers であった。






 そして、この二人の確執の物語が、この 「女の城 le Chateau des Dames」 の中でも、最も象徴的な出来事であったに違いない。 映画にもなったそうであるから観てみたいものである。











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ディアンヌ・ド・ポワティエの庭園 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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ディアンヌ・ド・ポワティエの庭園の中にある法官府
Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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レストラン 「オランジュリ」 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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レストラン 「オランジュリ2」 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh










 §§§ 十六世紀風の農家
 ひと通り、ざっとではあったが、如何にもお城の庭園といったものを観て回ったあと、駐車場へ引き返すべく道成りに進むと、開かれた門扉が現れた。

 《十六世紀風の農家》
《十六世紀風の農家》 2005/04/26 Photo by Kohyuh
 その中へと道は続いているのだが、そのまま入って行っていいものか戸惑われた。

 来るときには気が付かなかったが、そこから覗いてみると、荘園のような、農家のような、いわゆるお城の風情ではない、人の住む気配がする。

 大小さまざまな家屋だとか納屋だとかが道の両側に連なっているのが見えた。







 家屋や塀で囲まれた空間ではあるが十分に広く、中央を通る道は舗装されてはいないが馬車がすれ違いできるほどのものである。

 また、よく手入れされた芝生や大きな樹木を配した庭が連なり、アヒルなどを飼っているのであろうか柵囲いされた小さな池まであった。 さらに不思議なことに、アヒルはいなくて、オシドリ ♂ が一羽いた。









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十六世紀風の農家にある池 Chenonceaux, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh





 このまま中に入って行っても良いが、もし、出口が無ければ、また、ここに引き返す羽目になる。 それを思うとどうしても、二の足を踏むのは仕方がない。

 それでもよく考えてみると、外に出た分けではないのだから、まだ、シュノンソー城というエリアの中にいる筈で、ならば観光客にダメージを与えるような設計をする訳がない。 きっと向こうの端に出口があって、駐車場に近いところに出ると踏んだ。

 今、こうして振り返って見ると、何のことはない、貰った日本語のパンフレットに地図が描いてある、それも日本語で。 私のすることは、こんなもんである。 パンフレットや説明書は現場では見ない、見ていては日が暮れる。

 そして、あとから、あれを見ておけばよかったとか、残念に思うことが多々でてくるが、これは私たちの性質 (たち) だから仕方がない。


 ここが 「十六世紀風の農家」 と呼ばれているところと知ったのは、帰ってきてからのことである。 これを借景とは言わないのかもしれないが、同時代の農家があることで、より一層、当時のお城の姿を際立たせるという意味では効果は同じであろう。









 §§§ ワインセラー wine cellar
《ワインセラー wine cellar》
ワインセラー wine cellar》 2005/04/26 Photo by Kohyuh

 十六世紀風の農家の出口近くに、丁度、満開の藤の花で覆われた家屋があり、それが綺麗であったから記念写真を撮っていた。

 すると扉が開いて黒いスーツ姿の一人の女性が現れた。 日本の方であった。

 部屋から私たちの姿を見て声をかけてくれたのである。 聞いてみると、このロワール地方は美味しいワインを産するところという。









 そして、傍らの建物を手で指し示し、この中が展示場になっていて、ワイン搾り機だとか、ワイン作りの工程が分かる仕組みになっているから、どうぞと勧められた。 もちろんワインの試飲もできるという。



 観光バスで日本人客がよく訪れるから、日本人スタッフを常駐させているのであろう。 しかし、私たちは車であるから試飲はしたくても出来ないところが残念である。

 ワイン通でなくとも、ロワールワインを飲まないで、いったいお前は何をしにきたのか 『あほちゃうか』 と我ながら思ったものであった。

 彼女はここから車で一時間ほどの所に住んでいて、毎日車で通勤しているそうである。 私が 『こちらは車のスピードが速くてついていけない。 どうです?』 というと、こちらでもそれが問題になっているとのこと。 特に、郊外から市街に入るところで事故が増えているという。


 結局、ワイン作りの展示館へは入らなかったので、果たしてここに、ワインセラー wine cellar があったのかどうかも確認できてはいない。


ワインセラー wine cellar
(地下の)ぶどう酒貯蔵室

 by Shin Meikai Kokugo Dictionary, 5th edition (C) Sanseido Co., Ltd. 1972,1974,1981,1989,1997










 §§ ヴィエルゾン Vierzon へ向けて出発
 駐車場で、ナシやトマトやケーキの残りもの等を食べて 13:00 丁度、ヴィエルゾン Vierzon へ向けて出発した。 私たちのドライブ旅行の昼食はだいたいこんなものである。

 気に入ったところに車を停めて、休憩を兼ねて食べる。 時に、昼食抜きのこともある。



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シェール川の風景 cher, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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シェール川の風景2 cher, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh



 このヴィエルゾン Vierzon をドライブの終着地としたのは、次のトゥールーズ Toulouse へ向けての列車の旅に 『便利である筈』 であるからだ。 また 『ハーツ Hertz の営業所が駅前にある筈』 である。









 §§§ 到着したのは良いが
 シェール川右岸沿いの地方道 D176 の道は走っていて気持ちが良い。 左岸には国道 N76 もあるが、それは趣味ではない。 とは言っても D176 も中ほどで N76 に合流してヴィエルゾン Vierzon の市街地へと入って行くことになる。

 美しいシェール川を眺めながら走っていると、どうしても停まって休憩したいという衝動にかられてしまう。 実際に、適当なパーキングを見つけては休むというペースのドライブではあったが、15:30 頃には到着することができた。



 市街に到着はしたが、先ずはツーリスト・インフォーメーションを探すのが手順である。 そこで、市内地図を貰ったり、ホテル情報やハーツ・レンタカーの営業所が何処にあるか教えてもらう算段である。

 ところが、このヴィエルゾンは、「地球の歩き方」 の地図には小さく地名は載っているものの、観るべきものといった情報が全くない。 だから、迷うような街である筈がないと思っていた。 それが迷ってしまった。


 インフォーメーションを見つけるのはそれ程難しくはない。 幹線道路の標識を見て、ヴィエルゾン Vierzon 方面へ入り、更に "City Center" という標識を次々と見つけては、その指示するとおりに進めば辿り着けるようになっている。  これはどの国でも同じようである。 問題は、そこから次に向かう道を選ぶのが難しい。 今回もその土つぼにはまってしまった。


 普通、街の中心地とは市庁舎などがあるところであろう。 そしてそれらは、日本のように新しく建てかえることは殆どなく、昔からの歴史ある建物を利用しているものだ。

 だから、ヨーロッパにおいて街の中心地とは、必ずしも交通の便利なところではなく、旧市街地にあることが多い。 また、そこが観光客の集まるところであり、ツーリスト・インフォーメーションの存在価値があるところである。

 ヴィエルゾンも例外ではなかった。 周囲が建物で囲まれた小さな広場に行き着き、インフォーメーションはその一角にあった。


 広場といってもパーキングできる余地はなかったから、私は車に残り、家内が一人走っていった。 しばらく待つと地図を貰ってきて、どうやら幹線道路に出るべくルートが分ったのであろう、出発の指示が出た。









 §§§§ 二人とも泣きそうになる
   城壁であろうか、丁度、車が通れるほどの小さな門があり、そちらに向かって二人乗りのバイクが走りぬけ、我々の方に向かって、こっちだという風に手を上げて去っていった。

 その後を追ったが、すぐに見失ってしまった。 さらに進むと複雑な別れ道が現れ、どの道も路地裏へ通じるようで行き場がなかった。

 どうも家内がルートを掌握し切れていない様子であったから、もう一度インフォーメーションに戻って、再確認してくるようにいうと、二度も聞くのは、かっこ悪いのであろうか行きたがらない。

 それはそうかも知れない。 言葉は殆ど通じない筈だから、勇気もいる。 とは言っても、行かねば問題は解決しないから、再び出かけていった。

 お前が聞きに行けば良いではないか、薄情な奴だ、と思うかもしれないが、そうではない。 私は、何回も言うように病的なほどの方向音痴である。 左や右やと説明されてもついて行けないことは明白である。

 それに、このようなフランス人しか訪れないような街?では、ほとんど英語は役に立たない。 フランス語を解せないのは私とて同じである。 いやむしろ、動物的感覚での意思の疎通は家内の方が上であろう。 家内もそのことを良く知っている。




 こんど対応に出た人は前の男性ではなく女性で、しかも、フランス語しか喋れなかった、とか何とか言っていたが、また、GOの指示が出た。

 門の手前にある細い路地である。 それも下り坂になっていた。 何かしら不安があったが、指示通りに黙って下っていくと、細い道が更に狭まり、明らかに車の通れるところではないと分かった。

 50mは下ってきた。 カーブもある石畳の道である。 家内が下りて誘導するにも ドアも開けられないほどであった。 私は内心、泣きそうであったが、もっと泣きたい思いをしたのは家内の方であったろう。 ここが腕の見せ所と、こすり傷覚悟でバックした。




 私の腕の見せ所は、上手く行った。 そしてまた、家内は道を聞きに走った。 三度も道を聞きに行ったことから、インフォメーションの人たちも異常に気付いてくれたらしく、更に詳細な地図に丁寧にルートを線引きして、また、表に出て指差して教えてくれていた。

 やはり、門をくぐって行くのが正解で、最初は通れないと思っていた小さな路地へ入り、行き止まりのように見えていたところを曲がり、石畳の道をうねうねと進むと見通しがついた。









 §§§§ ハーツ Hertz の営業所が存在しない?
 ハーツの営業所がある筈の大通りに出た。 インフォメーションで印を付けて貰ったから、この町筋に在ることは間違いない。 通りの名称も確認済である。 後は番地だけであった。 要所要所で車を停めて、ハーツの住所録にある番地を探しながら行く。

 
 《Hertz Vierzon 営業所》
住所 : Route de Brinay 63, Route de Brinay 18000
都市 : Vierzon
州・地方 :
国 : France
電話番号 : 02 48533630
Fax番号 : 02 48533634
営業時間 : Mo 1400-1800, Tu-Fr 0800-1200 1400-1900, Sa 0800-1200, Su closed



 その大通りに人がいたので家内が聞きに走った。 ハーツの住所を示して聞いてみたという。 この近くの人のようで、この番地はこの辺りのことだという。 親切な人だった。

 少し歩き回って、ご近所さんまで呼び出して探してくれたが、その前後の番地は確かに存在するのに、この63番地だけが見つからないと言って皆んな不思議がっていた。 もう、五人ほどが集まっていた。

 家内がハーツ・レンタカー・オフィスと何度も繰り返して言っているのがやっと通じて、なぁんだという風に向かい側の500mほど先にある自動車販売の営業所のような、ガラス張りの建物を指差して教えてくれた。 実際に自動車を展示していた。 この63番地は大通りの反対側にあったようである。


 このような親切に会うと本当に嬉しくなる。 今日一日で、どれほどの親切に出逢ったことか。 名所旧跡も良いが、こうした人情に触れることも、その国のことを強く印象付けることになる。 逆に、旅する私たちも、日本の品格を落とさないようにという思いを新たにしたことであった。









 §§§§ ホテルの女主人は昼寝中?
 車の返却場所が分れば一安心である。 すぐに返却してはもったいない。 車はホテル探しに未だ必要である。 インフォメーションで貰ったホテルリストの中で最も駅に近いところのホテルに当って見ることにした。

 ヴィエルゾン駅は、この営業所探しの一環として、場所は既に把握していた。 小さな駅ではあったが、パーキングがあったから、そこに車を置いて、歩きで探すことにした。 要するに駅まで歩いて行ける範囲でホテルを探そうという魂胆である。 何しろ明日からは車がない。

 駅の向かい側に、如何にも駅前旅館といったホテルがあった。 この際、快適かどうかは問題ない。 明日からは荷物を引いての移動であるから近い方が良いに決まっている。

 宿の玄関の扉は閉まっていたから、もう廃業したのかなと思った。 そんな雰囲気のホテルであった。 それでも、ガラス越しに中を覗き込んでいたら、通りすがりの人が呼び鈴を押せば良いと教えてくれた。 それは、言われるまでもなく、先ほどから何回もしていることである。

 今日は休みではないかと聞き返すと、そんなことはないという風であった。 訳が分からないまま、こんなことで時間を取られても無駄である、次のホテルを訪ねることにした。


 距離的には15分程度の歩きであろうか。 車を使えばよかったが、どれほどのものか体験しておくことも、明日に備えて、必要であろうと歩き出した。

 川のほとりにあって眺めが良いホテルであった。 空き部屋があることを確認して引き返してきたが、上り坂で疲れた身には結構辛いものがあった。









 §§§§ ぴかぴかの娘さんたち
 先ほどの駅前旅館に辿り着くと、玄関から大学生であろうか、三人連れの若い娘さんたちが出かけて行くところであった。 プエルトリコ系の顔立ちである。 宿が開いているのならばこちらの方が良いと、呼び鈴を押すとオバサンが出てきた。

 空き部屋があると聞いて部屋を案内してもらったところ、三階の部屋で、エレベータも無かった。 とても荷物を持って上がる気がなかったが、部屋だけは見せてもらった。 木製の階段もギシギシというし、少々くたびれていたが、それは問題ではない。

 体力がないからお断りしたが、先ほどの娘さんたちが羨ましい。 助べえ根性で言うのではない。 ともすれば豪華なホテルに泊まろうとするが、それが旅の目的ではない筈で、予算内で出来るだけ長く、見知らぬ地を見聞したいから、ということではなかろうか。

 この宿の雰囲気とは正反対の輝かしい彼女たちを見て、旅とは本来このようでなければならないと思った次第である。 また、この宿のオバサンも、きっと彼女たちにとっては、お母さんのような存在だったかも知れない。

 呼び鈴を押すように教えてくれたオバサンとも仲良しであろう。 また、私たちが訪ねたときは昼寝をしていたのであろうが、ちゃんと玄関の戸締りをして、彼女たちの安全に配慮していたのではなかろうか。










 §§§§ レンタカーとホテルのチェックイン
 駅に戻ってトゥルーズ Toulouse までの切符を買った。 私はシニア料金といって、60歳以上の人には割引がある。 私は知らなかったが、家内がその様に言って買えといわれただけである。

 なるほど、シニア料金が 35.3ユーロに対し、大人は 47ユーロであったから、知らないでは損である。


 次にホテルのチェックインを先に済ませ、荷物を部屋に運んだあと、ハーツ営業所に向かった。 もはや迷うこともない。 途中、ガソリンスタンドによって満タンにしなければならないが、ちゃんとその場所も決めてあるから何の問題もない。

 今日は何かとくたびれ果てたが、無事に 車のチェックイン が出来たことが何よりである。 この安堵感があればこそ、旅の疲れも取れようというものである。

 私たちが安堵感したのはもちろんであるが、今、対応してくれた女性も、ホッとしたようである。 というのも、場所確認のためにこの営業所訪れたときには男性職員が応対に出てくれた。 英語も喋れた。 その人には、また後でチェックインしに来るからと言って、ホテル探しに出かけた次第であった。 ところが彼はもう帰っていなかったのである。

 フランス語しか喋れない彼女は戸惑ったに違いない。 私たちのチェックインの予定も聞いていなかったようである。 サン・ジェルマン・アン・レーからの乗り捨て契約であったから、ローカルな営業所では滅多になかったかも知れない。 満タンチェック、走行距離や車の傷の有無や一連の確認作業があり、それを一人で走り回っていた。



 ハーツ営業所でタクシーを呼んでもらって帰るが、今回初めて利用した。 明日は駅まで歩いて行こうと考えていたが、このタクシーの味をしめたからには、もう無理かもしれない。









 §§§§ クレジット払いは要注意
 ガソリンの満タン給油も問題なく終わったように書いたが、帰国後に問題が発生した。 現金払いにしたのにクレジット会社から請求がきた。 私は気が付かなかったが家内が気が付いた。



 レンタカーは満タン返しが原則だから、満タンでなければ、例え少量でもガソリンは補給しておかなければならない。

 ヴィエルゾンで返却のためセルフで満タン給油したが、確かに少量であった。 給油が終わったあと、いつものように家内が事務所に料金の支払いに出向いた。 それが中々戻って来なかったのである。 混雑するほど客はいなかったのに。


 現在では日本のガソリンスタンドもセルフサービスが多くなってきた。 後発だけに設備は最新式である。 その場で (給油機の傍で) カード決済ができるところが多い。

 当時のフランスは殆ど全てがセルフスタンドであったが、料金の支払いは事務所まで行かねばならなかった。 そこで使った給油機番号を告げるのである。

 係員は、その給油機番号をキー入力すれだけで、私たちの給油量と料金がレジに表示される仕組みになっている。 その後、現金払いか、クレジット払いか、といった決済処理をすればよい。





 仕方なく車を邪魔にならない所へ移動させて事務所の様子を覗きに行った。 どうやらクレジット処理が巧く機能せず、エラーが出るようであった。 カード会社を変えても同じ結果だという。

 私はクレジット処理の仕組みを多少分かっていたから、きっと 『小額料金のためクレジット会社が受け付けてくれなかったのではないか』 といったのである。 というのも、不正なカードと疑われたくなかったこともある。

 普通、エラーが発生した場合、どんな機械でも、どうしてエラーと判断したのか、その理由を示すエラーコードを表示するようになっている。

 そのコードをマニュアルで調べれば、どういったエラーかすぐ分かるようになっているものだ。 ところが、滅多に発生しないようなことであろうから、手元にマニュアルやらが置いてある訳がない。 そんなものだ。


 その小額料金エラーかどうか確認をするのは簡単である。 別の取引として、一般的な料金を入力してクレジット処理をすればよい。 首尾よく動作すればカードには問題ないことが分かる。

 それから、その取引の取り消し処理をすれば問題はない筈である。 お互いに、そのことを了承してのテストであった。

 この確認テストは、私の思惑通りに成功した。 カードや機械に何の問題もないということが分ったのである。 だから、その一連のテストのレシートは悪用されないように受取り、実際の料金の支払いは現金払いにして貰った次第である。





 帰国後しばらくたってクレジット会社から、ヴィエルゾンでの給油料金の請求がきた。 現金決済した筈であるからクレジットの請求は身に覚えがない。 あわててテストしたレシートを探すが、貰った一連のレシートは、これとは関係ないようなものばかりで、請求金額に相当するものが見つからなかった。

 事務所のおっちゃんが何やかやとレジ操作をしているうちに訳が分からないまま、間違ったレシートをくれたようである。 さすがにチェックの厳しい家内でも、フランス語のレシートであるから、どれが取り消しのレシートか、即座に判断できなかったのであろう。 ゴミのようなレシートを受け取って、気が付かないでいた。

 色々試し打ちしているときに、別のお客さんも来ていたから、余計にこんがらがったことであろう。 幸い、現金払いしたレシートは手元にあったから、クレジット会社にその状況を説明した。

 クレジット会社には一連の処理データは全て蓄えられているから、それを調べれば何処に処理上の不具合があったか分かるはずである。 後日、実際に請求ミスであったということで、払い戻しの連絡が入った。

 いらぬことを言わなければよかった。 やれやれ。









 §§§§ ヴィエルゾン Vierzon で鳥観 (とりみ)

《ヴィエルゾンのホテルの部屋からの眺め》
ヴィエルゾンのホテルの部屋からの眺め
2005/04/26 Photo by Kohyuh


 ヴィエルゾンのホテルの前には、大きくはないが、水を満々とたたえた川が流れている。

 また、それに堰を設けてあるから広い池のようになっているところもある。 その池の中央には噴水もあった。 散歩のコースとしてはお誂えというもので、早速、鳥観(とりみ)に出かけた。



 車をチェックインしたのが 18:30 であったから、まだまだ明るいし、夕食はどうせ 9時過ぎになるであろう。









コブハクチョウ
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《コブハクチョウ》
ヴィエルゾン フランス
Photo by Kohyuh 2004/04/26
 コブハクチョウ
 分類    カモ目 カモ科
 全長     L152 cm
 学名    Cygnus olor
 英語名   Mute Swan


 雌雄同色

 
★左のサムネイル写真をクリックすると拡大する











 コブハクチョウは、フランスでは 留鳥 として広く分布しているそうである。 しかし、日本で見られるものは、籠脱け かごぬけ したものが野生化しただけのものという。

 そして、私たちはいつのまにか、鳥観 とりみ の対象を固定化してしまっているのではないだろうか。 こうした 籠脱け かごぬけ して野生化したものを一段低く見たり、除外したり、無視する傾向があるのではないか。 人様の世話にならずに野生として生きていることは同じなのに。

 いつの間に、そんなに偉くなったのだろうか。 こんな生き方が良いとか悪いとか決め付けられるほどに。






 この他に、マガモクロウタドリニシコクマルガラス がいた。 また、イエスズメ を見なかったが、何故だろう。 当たり前のように目にするものが見えないとなると気にかかる。



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ヴィエルゾンの川の風景 Vierzon, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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ヴィエルゾンの川の風景2 Vierzon, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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ヴィエルゾンの川の風景3 Vierzon, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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ヴィエルゾンの川の風景4 Vierzon, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh




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ヴィエルゾンの川の風景5 Vierzon, France 2004/04/26 Photo by Kohyuh










 §§§§ メニューにも慣れてきた
 このホテルのすぐ横がスーパーであるから、一応何でも手に入る。 しかし、レストランはなさそうであったからホテルで夕食を摂ることにしたした。

 当初はメニューを見て注文はするが、大抵はハズレであった。 食べ過ぎたりもした。 それが旅も半ばとなると要領が分ってくるというものである。 とは言っても満足できるものはそれ程多くはなかったように思う。



 ・シーフードのソースにライス付きケバブ (肉、野菜、ソーセージの串焼き)
 ・フリット
 ・アイスクリーム

 まぁ、こちらの人は甘いもの好きである。 デザートは二人分ほどある。 太った人が多いわけである。 この日の万歩計の表示は 25,840歩であった。 いつもより、一万歩ほど多かった。
 








 トゥールからヴィエルゾン へ (スライドショウ)



〔Arche Hotel 泊 2004/04/26〕
http://www.arche-hotel.fr/index.php?lang=eng
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